「物言う株主」ビル・アックマンがスターバックスに約9億ドルを投資した。
注目のニュースです。世界で二番目くらいに有名な「物言う株主(アクティビスト)」のビル・アックマンが投資の対象に、業績が曲がり角にあると言われているスターバックスを選択したという意外性です。
ビル・アックマンは1966年生まれの52歳。ハーバードでMBAを取得した26歳のときに投資家となり、その後26年間をファンドマネージャーとして過ごしています。
彼の投資運用会社パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントの投資資産は2018年3月末で約82億ドルです。また、アックマン自身は11億ドルの純資産を保有するとされています。
何だか、凄いでしょう。
ただ、ずっと成功しているわけでもなく、パーシング・スクエアは2015年時点では183億ドルの資産を保有していたので3年間で100億ドルを失っているのです。何だか、大変そうですが・・・あんまり問題なさそうです。
ところで、話は変わりまして「物言う株主」です。何だか、欧米の、しかも近年のことのような気がしますよね。日本では村上ファンドなんかのイメージもあって、良い印象を持っていない人も多いのではないでしょうか?
でも、日本にも昔から物言う株主はおりまして、当地では小野田セメントの歴史に載っていますので、ちょっと紹介してみます。
小野田セメントは明治14年に旧毛利藩士笠井順八が創業した日本初の民間セメント会社です。順調に事業を拡大していった小野田セメントですが、日清戦争後の経済恐慌によって会社は存亡の危機を迎えます。
明治32年11月5日に開かれた臨時株主総会で、会社側は減資と社債発行(50万円)を柱とする再建案を提案します。これに対して、不満を持った株主側は独自に調査委員会をつくって調査するように要求します。翌11月6日に続けて開かれた株主総会で、白熱した議論の末に、会社側の再建案を承認したうえで、調査委員会が調査をすることも決まりました。
明けて明治33年1月30日に株主側の調査委員会は、小野田セメントは製造のみをおこない販売を全て三井物産に移管すること、標準予算法による大幅な経費カット(24%)すること、など劇的で抜本的な提案をします。この提案は全て実行に移され、小野田セメントは業績を回復して、発展していくのです。
※これらの記事は「小野田セメント株式会社創業50年史」にあるのですが、これは国会図書館デジタルコレクションで読むことができます。 便利な世の中です。