吉野家が、平成31年2月期に6年ぶりの通期最終赤字に転落する見通しになりました。
安部修仁さんが社長になってしばらくした頃ですから、25年くらい前です。吉野家の株を単位株だけ購入しました。今でもそのまま保有しています。半年に1回、3000円の株主優待券が贈られてくるので、たまに使います。ちょっとですが、ずっと応援しています。
25年の間には、2003年のアメリカ産牛肉のBSE問題という大事件がありました。
当時の吉野家は牛丼の単品販売で「うまい・やすい・はやい」がキャッチフレーズでしたから、その牛肉が使えないというのは、そもそもあり得ないピンチでしたね。そして、この状況が、その後2年半も続くのです。牛丼を置いていない牛丼屋という摩訶不思議なことになりました。
思えば、安部修仁という社長は変わった人でした。牛丼にはアメリカ産牛肉しか使わないという、品質(味)にとことんこだわる頑固な面がありながら、経営方針は驚くほど頻繁に変わりました。
価格競争の時代には、400円の並盛を280円に突然値下げする(他社がすぐ250円にしたので効果なかった)とか、豆腐と糸こんにゃくで増量した牛鍋丼を販売する(最初だけよく売れた)とか、豚丼の味が頻繁に変わるとか・・。業績も詳しくは覚えていませんが、乱高下して、株価も上がったり下がったりだったと思います。
☞ 調べてみると、昨日の終値は1866円。お~、結構高い!
ただ、安部社長時代の吉野家は一貫して少数メニューでのオペレーションを続けました。外食産業が少数メニューでの経営をすることには、メリットもありますが、変化への対応においては足枷になります。
このため、安部社長退任後からの吉野家はメニューを大幅に拡張しています。現在は、牛丼・豚丼に加えて、牛カルビ丼、鶏丼、鰻重、カレーライス、朝ごはんに晩ごはん、その他各種定食と、なりました。
メニューの増加は、確かに売上高の維持には貢献しているのですが、オペレーションは複雑で面倒になっています。店員さんがPOS端末を扱うのさえ、困惑しているような印象です。
吉野家以外の牛丼店では、食券自動販売機が導入されていましたが、吉野家ではお客様の顔を見るというコンセプトで対面接客を続けていました。しかし、これだけメニューが増えて、サイドメニューとの組み合わせが複雑になると、ムリが出てきました。今回の報道では、吉野屋も4割の店舗でセルフ式を導入するということです。
吉野家こそ、Less is More 経営の成功例と思っていたのですが・・。
☞ 2018/09/30「Less is More 少ないことが豊かなこと」