リモートセンシングは遠隔探査という意味で、広義にはものを触らずに調べることです。
省エネ診断では、赤外線温度計で空調の熱交換機の温度を測定したりしますが、これも広義に言えばリモートセンシングです。狭義では、リモートセンシングとは、人工衛星などから地球表面付近を観測する技術のことをいいます。
右の写真は、一財)リモートセンシング技術センター(RESTEC)のWebサイトにある、北海道胆振東部地震による地面の変化を示す画像です。現在は、cm単位の地面の変動が人工衛星から観測できるようになっています。
詳しくは、リンクからRESTECのサイトに入って確認してください。
この解析は、2014年に打ち上げられた陸域観測衛星”だいち2号”が収集したデータによっておこなわれています。
人工衛星から地球表面にマイクロ波(波長が1cmから数cmの電磁波)を照射して跳ね返ってくるマイクロ波の波形を観測します。これを2回以上行います。人工衛星と地表との距離が変化したなら、観測されるマイクロ波の位相に差が出ます。この位相差が、地面の変動を表すことになります。
ちなみに、もっと波長の短い電磁波を使うと更に細かく測定できそうな気がしますが、大気中には雲とかの水滴や煙などの粒子があるので、これに散乱してしまうのです。
理屈ではわからないでもないですが、実際に数cm単位で地面の変動が分かるというのは驚きです。そもそも高速で飛んでいる人工衛星の位置も正確にわかっていなければなりませんし、ものすごく正確な時計なんかも必要です。
地震や火山活動の解析や、将来的な予知などには、このリモートセンシング技術の進歩や普及は大いに活躍が期待されます。最近では、水田の稲の生育状況を人工衛星から観測することも可能になってきています。農業も宇宙から監視する時代になっていくようです。