食の安全はプロフェッショナルでしか守れないのか?

食の供給者は、必ずしもプロフェッショナルではないことに留意が必要です。

 

自宅に庭で野菜をつくっている人は多いですし、台所で漬物を漬けたりして食品加工をおこなう人もたくさんいます。まぁ、そもそも三度の食事の多くは家庭の台所でつくられるのですから、食の供給者がプロフェッショナルだけでないのは当然ですね。

 

食べる(https://pigeon.info)
食べる(https://pigeon.info)

食のリスクというのは、最も身近にあるリスクで、且つ複雑であり避けることが困難です。食の完全な安心を担保すること、つまりゼロリスクを確保するのは不可能です。

 

そこで、食をプロフェッショナルである外部に任せる、つまり食を産業としておこなっている組織に(対価を払って・仕事として)やらせるほうがいいのではないか?ということになります。

家庭では、食品が腐敗したり変質したりしているといったわかりやすいことでも見逃すことがあります。ましてや、食中毒を起こすような細菌がいるとか、感染症の原因になるウイルスが付着しているとか、発がん性がある・アレルギー性物質が含まれるなど、は自分ではなかなかわかりません。食品に含まれる栄養がどの程度なのかを把握するのも難しいです。

 

プロフェッショナルである食品事業者は、衛生管理を徹底し、検査体制を整え、食品表示を正しくおこない、トレーサビリティーを確立して、安全審査を受けて国際認証を取得するといった活動をします。特に、東京オリンピックを控えて欧米各国からの要求が強いので、食に関連する事業者はてんやわんやしています。

また、厚労省・農水省に消費者庁・食品安全委員会など規制組織も手ぐすね引いています。安全基準はどんどん厳しくなって、通常の測定器では測れないような値になってきています。

 

食にリスクがあることは確かですし、日本でも食中毒が年間1000件以上発生して、1万5千人から2万人が被害を受けて、数人の死者も出ています。厳密な管理をおこなって、一人の被害も出さないということも大事ですが、それで豊かな社会になるのかはちょっと疑問です。

超細かいことを言えば、苦みを感じるような食品成分は少なくとも虫などには有害なわけですから人間に(測ることができない程度の微かな)影響を与えないわけではありません。

これは問題発言ですが、食の場合は少しのリスクも効用になるような気がします。

 

もちろん、食に関わる全ての事業者は、プロフェッショナルとして、食の信頼を完全なものとするために、適切な行動や研鑽を毎日積み重ねることが必要です。そして、それを消費者に見えるようにし、外部の審査を受けて証明していく信じてもらうことが大切です。