阿波踊り。問題なのは観光協会ですが・・

徳島市観光協会を阿波踊りの運営や指定管理事業者から外すのは当然です。

 

マスコミの報道では徳島市長が悪くて、阿波踊り協会が被害者という図式です。ここで協会が複数出てくるのでややこしいのですが、大問題なのは阿波踊りの運営も事業の一つとしておこなっていた公益社団法人徳島市観光協会のほうです。

 

阿波踊り
阿波踊り

ちょっと整理しますと、阿波踊りを実際に演じる人たちのグループを連といいます。この連が阿波踊り振興協会とか徳島県阿波踊り協会とかの協会をつくってまとまっています。このうちで、有力な33の連が有名連と言われて総踊りに参加します。

一方で、昨年まで阿波踊りの運営をしていたのが先述の観光協会です。問題があるのは、この観光協会でした。

 

観光協会の主な事業は、阿波踊り会館と眉山ロープウェイの指定管理者としての収益事業と阿波踊り事業の二つです。

 

今回の騒動のきっかけは、どうも昨夏に指定管理者の更新で選定委員会が選定しなかったことのようです。

そのとき、代わりに指定管理者になったのが徳島新聞社グループの企業だったことで騒ぎになっているようです。市長が徳島新聞社が筆頭株主の徳島放送の元アナウンサーだったので、忖度した(ズブズブの関係?)のだという話です。愛媛県への獣医学部新設と同じような構図ですね。

 

さて、観光協会の昨年の収入(売上高)は5億9200万円。そのうち、阿波踊り事業が2億7800万円です。

この収入には、徳島市から補助金と指定管理料が合計1億5800万円入っています。さらに、収益事業に使用される施設は市所有で維持費は市財政から支出されますし、徳島県からの補助もあります。民間企業にあてはめた実質的な補助金は更に大きく増えます。

※宇部市の場合は公共施設カルテが市のウェブサイトに公開されていて過去5年間の維持費の額など収支が閲覧できます。徳島市のサイトには見当たらなかったです。

 

この協会の昨年3月期の財務状況が、資産1200万円/負債4億3700万円で4億2500万円の債務超過でした。金融機関借入が4億3800万円あったわけです。これだけでも、滅茶苦茶ですが、収入支出ともにお金の流れが不透明です。

指定管理者の選定には外部委員(徳島市は弁護士・学識経験者・公認会計士の3人)が招聘されます。外部委員がこの協会を指定管理者として選任することはあり得ないと思います。というか、市側が何といっても反対するでしょう。

逆に言えば、これまでの徳島市の判断が間違いです。

 

徳島市は観光協会の借入金に保証をしていたことから、協会の破産を申請をしました。その後になって、昨年の阿波踊りは2400万円の黒字だったとか、1億800万円の現金があったとか・・ちょっと信じられないようないい加減さです。

今回の件は、いろいろ悶着はあるでしょうが、観光協会抜きでも立派に阿波踊りが開催されることがわかったのが最大の収穫だったのではないでしょうか? マスコミの変ちくりんな誘導に乗らず、雨降って地固まるというように、先ずは地元の皆さんが楽しめる祭りになればいいように思います。