温室効果ガスの多量排出と地球温暖化との因果関係は仮説の域をでないのは確かです。
マスメディアで暴論を吐いて世間を惑わすことを仕事にしている人がいます。平安時代のほうが暑かったのだから、温室効果ガスと地球温暖化は関係がないと口角泡を飛ばしていましたが、温暖化の原因が違います。
日本の平安時代に地球が温暖化していたのは確かです。屋久島の杉の年輪などから、特に日本では温暖だったことがわかっています。今年の夏よりも、もっと猛暑・酷暑であったかも知れません。
ヨーロッパなどでも、現在ほどではなかったものの温暖でした。海面水位が高くなっていて、オランダなどは国土面積が随分狭くなっていました。
ここで地球全体の熱バランスを考えてみましょう。
地球そのものはほとんど熱を出しません。地球の熱はほぼ全てが太陽から来る熱です。地球大気に到達した太陽の熱を100としたとき、30ほどは反射で宇宙空間に返ります。20ほどが大気中に蓄えられて、50ほどが地表に届きます。
大気中に蓄えられた熱のうち、1/3は宇宙空間に放射されて戻り、2/3は地表を温めます。ややこしい計算を保留すると、地表に150くらいの熱が与えられます。与えられた熱のうち、120くらいが放射で大気中に戻り、20くらいが水の蒸発(潜熱)で、10が伝熱や対流(顕熱)で大気中に戻ります。
要するに、地球全体としてほぼほぼ収支が均衡しているから、温度が一定に保たれているのです。このバランスが少し崩れると、地球は温暖化あるいは寒冷化することになります。
平安時代の温暖化の原因は、太陽活動の活発化によると言われています。先の例で言えば、太陽の熱が100でなく101(紫外線量では108くらいになっていたとか)になって、バランスが崩れました。産業革命以前の地球温暖化(寒冷化)は、主に太陽活動の強弱によってもたらされています。
そこで現在ですが、太陽活動はとても不活発です。人類が太陽黒点の観測をはじめて以来、最も不活発と言ってよいほどです。このため、地球は寒冷化すると主張する人もたくさんいます。そのなかでの温暖化の進行です。
世界の人々が、それぞれにできることから始めるしかないと思います。