アメリカの社会心理学者ニスベットの著作で、日本では2004年に発売されました。
東洋人と西洋人のものの見方や考え方が文化によっていかに違うのか、なぜ違うのかを科学的に明らかにしたとして、評判になりました。ちょっと、つまみ食いします。
右の絵は、ニスベットが実際に試験に使ったシートの一つです。
あなたは、ターゲットはグループ1あるいはグループ2のどちらに近いと思いますか?
ニスベットの実験結果は、東洋人あるいはアジア系アメリカ人はグループ1に近いと答え、ヨーロッパ人あるいはヨーロッパ系アメリカ人はグループ2に近いと答える人がほとんどだったそうです。
私も迷いなくグループ1と答えます。
逆に何故、グループ2と答えるのか不思議なくらいでした。西洋人は、グループ2とターゲットの明確な特徴「茎が真っ直ぐ」というところに着目するのだそうです。
さて、本書のつまみ食いです。
「西洋人は木を見る」「東洋人は森を見る」
「西洋人は対象物の属性を考え、対象物が属するカテゴリーを見極め、そのカテゴリーに対して適切な規則を用いる。」「東洋人は対象物は相互に関連していてカテゴリーに分ける意味を感じない。カテゴリーや規則を適用するには世界は複雑すぎる。」
「西洋人は文脈を排し、文章から意味を剥ぎ取り、構造だけを残して議論が妥当か否かを判断する論理学を発展させた。論理学は科学に簡単に転換できる。」「東洋人は調和と包括性を重んじ、対立に対して矛盾を解決する中庸を見つける。」
「西洋人は自分自身が単一の自由な主体と考える。」「東洋人は相互調和的な世界に生きて、自己は大きな全体の一部と考える」
西洋人は自然を人間が征服すべき対象と考え、東洋人は自然は人間が従うべき存在と考える。
西洋では人は神になれないが、東洋では誰でも神(仏かな)になり得る。
西洋人は事象の本質を解明しようとし、東洋人は人の心の本質を解明しようとする。
全てがそうだというわけではないでしょうが、上のようなテストをすると、はっきりした差が出るのも確かなようです。