下関市を海から山までクルマを走らせましたが、今日の天気は大荒れです。
ルイス・フライ・リチャードソンは、1881年(明治14年)生まれのイギリスの数学者であり気象学者です。現在の数値解析による天気予報の原理を考えついた人です。リチャードソンのアイディア無しには気象予測はできませんでした。
昔から、天気を予報する人はたくさんいました。
占いや呪いの人もそうですし、農業や漁業に従事する方、登山家やヨットマンなども経験的に天気を見極めました。
この天気予報を経験から科学に置き換えることを目指したのがリチャードソンです。
将来のことを正確に知ることは難しいことです。例えば、地震がいつどこで発生するかを予測することは不可能です。
しかし、天気は物理学的な現象であって、法則性があります。数学的な計算によって予測できるとリチャードソンは考えたのです。
実際に、今から100年ほど前に、リチャードソンは地上気圧の変化を予測する計算を試みました。
その結果は、6時間後の地上気圧の計算結果を導くのに2か月を要し、しかもその結果は間違っていました。
この失敗を受けて、リチャードソンは「64,000人の計算者を巨大なホールに集めて、指揮者の元で整然と計算を行えば実際の天候の変化と同じくらいの速さで予報が行える」と著書に書きました。負け惜しみなんですが、これが「リチャードソンの夢」と呼ばれる構想です。
そして、この構想は笑いものになることはなく、実現へと向かいます。
日本で気象のダイナミックな変化の計算は、地球シミュレーターと呼ばれるスーパーコンピューターが担っています。
リチャードソンが夢見た64,000人の計算者に代わって、5120台のコンピューターが整然と稼働しています。1秒間に約1300億回の計算を繰り返すことで、実際の天候の変化に追随することができています。
夢を見る、夢を語る ということはとても大事ですね。