1989年に欧州で設立されたスローフード協会に、「味の箱舟」プロジェクトがあります。
世界に数多くある、絶滅の恐れに瀕している食品を守る箱舟というプロジェクトです。大量生産・大量消費に向かない伝統的な食材だけでなく、現代の食品衛生管理の仕組みでは認められないような食品も登録されています。今日の時点で、全世界4827件が登録されています。
右の画像にスローフード協会のウェブサイトをリンクしておきます。
スローフード運動は、1986年にイタリア北部のちいさな町で生まれました。
ローマの広場にマクドナルドができて人々が集まるようになったのをみて、食品に対して興味を持たない若者が増えることを危惧したペトリーニという雑誌編集者がはじめました。スローフード運動とは、土地の伝統的な食文化や食品を守ろうという運動です。
この運動は瞬く間に欧州15か国に広がり、1989年にNPO法人スローフード協会が設立されて、現在は150か国に10万人以上の会員がいるそうです。食料や食文化の画一化を避けて、伝統的な多様性を維持していきたいと思う人がたくさんいるということです。
スローフード運動は、生産者と消費者を結びつけます。言い換えれば、地域の自然と住民の生活を関連づけます。テレビで「秘密のケンミンショー」という番組がありますが、日本各地では郷土料理があり、独特な食文化がよく残っているように思います。好ましいことでもあり、守っていくことい意義がありそうです。
世界で4827件が登録されている「味の箱舟」ですが、日本では現在40件が登録されています。ちょっと残念ですが、山口県からの登録はありません。
どんなものが登録されているかと言えば、東京のくさや・ムロ節、福井の鯖のなれ寿し、長崎のエタリの塩辛といったちょっと癖の強い食品や、北海道の八列とうもろこし、宮城の曲がりねぎ、米沢の雪菜などの珍しい野菜、更には長野のザザムシ(水生昆虫の幼生)などです。
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