連載第19回目です。今回は、「財務・会計」の3回目です。
前回・前々回のおさらいです。
1次試験の財務会計は60分で25問ですから、じっくり考えるような問題は出ません。
つまり、財務諸表全体をみるような問題ではなく、部分的な知識を問う問題がでます。
電卓持ち込み禁止ですから、難しい計算問題も出ません。簡単な暗算力は必要ですから、少し慣れておくほうがよいでしょう。
知識を問う問題が出ますから、知識がなければ正答にたどり着けません。その場合は、設問の書き方などから、何かのヒントを得て確からしい回答を探すことになります。
何もヒントがなければ、クヨクヨしないで、鉛筆転がしてみるしかありません。
さて、昨年の問題から第21問を見てみましょう。資産運用に関する問題です。
この問題は、昨年の問題の中でもかなり難しい(正答できなかった人が多かった)問題だったと思います。いかがでしょうか?
私の使っていたテキストには、先渡取引と先物取引のそれぞれの定義についての記述が見当たりませんでした。したがって、その状態で受験していたら、ヒント探しをする(or 鉛筆転がし)しかなかったでしょうね。
先ず、アの「先物取引<取引所、先渡取引<店頭(相対)」という記述が正しいとします。
そうであれば、イの「先物取引=取引所が保証」も正しそうです。
ところが、ウの「先渡取引<差金決済で清算」は店頭(相対)取引とは矛盾します。
逆に、エの「先渡取引<任意に取り決める」は矛盾しません。
ということで、ウが確からしい答え(=最も不適切な記述)になります。
次に、アの「先物取引<取引所、先渡取引<店頭(相対)」という記述が間違っているとします。つまり、アが確からしい答えという場合です。
そうであれば、イの「先物取引=取引所が保証」は正しいはずです。
また、ウの「先渡取引<差金決済で清算」も正しいはずです。
当然ながら、エの「先渡取引<任意に取り決める」も正しいはずなのですが、ウと矛盾しそうな気がします。
ということで、アは正しいのではないか?と考えると、やはりウが答えになります。
いずれにせよ、この問題は難問です。
さて、先物取引と先渡取引の定義ですが、以下のようになります。
先渡取引(フォワード)
買い手と売り手の間の個別的な相対取引(店頭取引)で、将来の特定の日に特定の資産をあらかじめ決めた特定の金額で売買することをあらかじめ約束して行う取引のこと。
先物取引(フューチャーズ)
取引所が介在する取引所取引で、将来の特定の日に特定の資産をあらかじめ決めた特定の金額で売買することをあらかじめ約束して行う取引のこと。
差金決済
現物の受渡し行わずに、売りと買いの差額の授受で決済すること。
現物取引では禁止されている。
多くの受験生にとって、先物取引などは身近なことではないでしょうから、すっとは頭に入らないような気がします。この第21問から第23問までの3問は似たような傾向で、ちょっと難しかったと思います。
もし、用語の定義を把握していない問題がでたら、冷静に試験問題を読んでいきます。余白にメモをしながら設問の内容を把握したら、推理力を働かせて正答を探すということになりそうです。