「あるべき未来」を考えるのではなく、複数の「ありうる未来」を考えてこれに手を打つ。
会社にとって「あるべき未来」というか、「ありたい未来」というものは必ずあります。
これを目指して、精進努力を続けるというのは一見すると正しいのですが、外部環境や内部環境は変わっていきますから、下手をすると会社はダメになります。
複数の「ありうる未来」を考えて、それぞれの未来に応じた手を打つ用意をしておくことが大切です。
会社のなかの、いろいろな部署の人の意見を広く聞いて、「ありうる未来」を想定していきましょう。
「想定外の未来」というものはありません。「想定しなかった未来」とか「想定したくなかった未来」というものがあるだけです。
「ありうる未来」をイメージするのは、会社の事業をおこなううえで最も重要な未来の要素を二つ見つけて、マトリックスをつくって考えるのはお奨めです。
例えば、10年後の未来の事業構想を練っている化学品メーカーで あればこういうのが考えられます。
1番目の軸は、製造技術が10年後にどのレベルまで発展しているのかで示します。
2番目の軸を、顧客のつくる製品の市場が10年後にどのレベルになっているかで示します。
もちろん、現実的な予想の範囲で考えます。
第Ⅰ象限は、技術が予想以上に進歩し、顧客の市場も予想以上に拡大した場合です。
第Ⅱ象限は、技術は予想以上に進歩したが、顧客の市場が予想に反して縮小した場合です。
同様に、第Ⅲ象限、第Ⅳ小減と考えれば、4つのシナリオが描けます。これが「ありうる未来」ですから、それぞれのシナリオに対して、自社の対応策を検討します。
技術革新が進み、市場も拡大するならば、自社はこの技術を導入して、一層の売上高増加を目指すということもあるでしょう。
しかし、伸長した市場を目指して、生まれたばかりの新しい技術を活用した新規参入が増えるかも知れません。この「ありうる未来」への対処法を検討しておきます。
エネルギー問題では、「あるべき未来」は”再生エネルギーを積極的に導入して原発ゼロ”なのだろうと思います。しかし、「ありうる未来」が異なります。
「ありうる未来」に対する準備を、しっかりおこなわないとなりません。