近畿財務局の職員さんが自殺しました。死ぬのではなく、逃げるのです。
右のグラフは国家公務員一般職の人のうちで精神に障害があって長期病欠している人の数と、その割合を示しています。
2011年までは5年毎に統計が出ていましたが、以降は毎年発表されるようになりました。
少しづつ改善してきているのは確かですが、最新の2015年でも1.2%の人が長期病欠しています。80人に1人です。
民間企業の場合は信頼できる統計がないので、何とも言えないのですが、働く人のなかで精神を病む人が多いのは確かです。その究極の選択が、自ら死を選ぶということです。
精神を病んで、鬱になることを恐れてはいけません。統計上では、日本人の30人に1人が1年間に1度以上、うつを発症します。(そのうち、働く人なら80人に1人が長期病欠)
そして、男性の10人に1人、女性の5人に1人は、一生のうちに1度はうつを発症します。精神の傷害は決して珍しくなく、誰にでも起こる普通のことです。
もちろん、発症にはきっかけがあるので、そのきっかけ(例えば、長時間労働とか、各種のハラスメントとか)を排除することは大事です。しかし、国会の場での議員によるパワハラ映像を垂れ流して、誰も痛痒を感じないような日本では、全てを無くすには長期間が必要でしょう。先日なんか、ラジオで聞いていて、労働基準局長が自殺しやしないかと、まじめに心配になりました。
メンタルヘルスを維持する方法には、「闘う」「逃げる」「忘れる」の3つがあります。メンタルヘルス教育では、ストレスに対処するときに3つのバランスを取ることを推奨します。
闘ってばかりだと身がもたない。逃げてばかりだと成長しない。忘れてばかりだと相手にされない。ときには闘い、ときには逃げ、ときには忘れる。のが、確かに正しい対処です。
しかし、本当に辛くなったら、とにかく「逃げる」ことです。あなたが仕事を放り出しても、会社や組織、ましてや社会がどうにかなるわけはありません。この世の中には、本当に余人をもって代えられないような仕事や活動はないのです。あなたのことが余人をもって代えられないのは、あなたの家族だけです。
家族のところに逃げる。あるいは、家族と一緒に逃げるのです。何とかなります。
【追記】
女子レスリングの栄理事の対応がベストです。「神経衰弱で日常生活もままならない」ということで逃げましょう。「説明責任を果たせ」なんていう声に、命を削ってまで応える必要はありません。どんなに大騒ぎされても、あなたの命に比べれば取るに足らない些末なことです。