NHKラジオ「スッピン」の業界誌を紹介するコーナーで、「ダム日本」が紹介されました。
世の中には「ダムファン」「ダムマニア」「ダムオタク」という方が多数おられるのだそうです。
「ダム日本」という雑誌は、本来はダム技術者向けの雑誌だったのですが、徐々にダムファンなど一般向けの記事が増えてきているそうです。
鉄道ファンと同様に、ダムを見るのが好き・ダムを知るのが好き・ダム写真を撮るのが好き・ダムカードを集めるコレクターなど、いろいろなダムファンがいるそうです。ダムですから、交通至便というわけにもいきませんからファンの皆さんも大変です。しかも、ダム工事の途中からウォッチは続けられるそうですから、時間もかかります。
さて、環境エネルギーという観点からは、ダムによる水力発電は再生可能エネルギーの最大のものです。日本においても、温室効果ガスの排出抑制には水力発電電力量の増加を図る必要性は高いといえます。
そこで、右のグラフなのですが、日本における水力発電所の設備容量は右肩上がりに増えていっています。1970年には2000万kWだったものが2015年には5000万kWと2.5倍になりました。近年は大型ダムの建設はなかなか難しいのですが、中小型水力発電の導入が盛んになっていることから、まだまだ水力発電設備容量は増加基調です。
ところが、設備容量は増えているのに発電電力量がほぼ横ばいです。1970年の800億kWhから、約1.1倍になったくらいです。ちょっと残念ですよね。
再生エネルギーを活用しようということであれば、自然のなかに太陽光発電パネルを並べたり、山の頂や海の上に風力発電の風車を立てるよりも既存の水力発電電力量を増やすことが有利です。
何故、水力発電力量が伸びないかというといろいろな原因があります。もちろん渇水のときは発電量が低下しますが、異常気象による大雨でも溢水によって発電量が減少します。
既存のダムには土砂が堆積していくという問題もあります。そして何より大きいのは設備の経年劣化です。ダム本体を含む水力発電施設の修繕補修には莫大な費用がかかります。しかし、原子力発電が止まっている現状では電力事業者に費用負担の余力がありません。
「脱ダム」を標榜した政治家は何人もいました。皆さん原子力発電の電力を当てにしていたから言えました。原子力発電の新設が事実上不可能な状況で、温室効果ガスの排出を減らすには水力発電の活用は不可欠です。いまこそ「活ダム宣言」をして欲しいと思います。
ダムの活用は、電力供給だけでなく、防災にもなります。用水の確保にもなります。もちろん、多くのダムファンを巻き込んだ観光資源でもあります。