例によって、政府と野党各党のグダグダの論争で法案が成立しないかも?の雲行きです。
まぁ、中小企業を含む経営者側から考えると、働き方改革の意義はよく理解しているものの、働き方改革法案ができると厳しいことになるなぁ、と困っていたのが本音です。
しかし、与党が絶対多数を握っている状況では、今国会での成立は確実という情勢でした。
それが、厚生労働省が作成した安倍首相の国会答弁書でのデータの取り間違いで、一転して成立が紛糾する事態になりました。そもそも、この労働時間調査はデータというよりアンケートですから、統計的な正確性を求めること自体がナンセンスなのです。しかし、理系センスのある政治家は与野党ともに少ないので、印象だけで盛り上がっています。
「裁量労働制のほうが労働時間が短いとか、裁量労働制に満足しているとか、というアンケート結果もある」と答弁するのが正しいのです。労働の量や時間を正確に把握できるはずはないですよね。タイムカードを打刻した時間は把握できますが、それ以上ではありません。
このため、政府の説明も野党の追及も破綻しています。野党側の考えも統一されていないので、「現在、労働者の過労という課題がある」という共通認識を放棄して、論理的に絶対に求めることに出来ない”正確なデータ?”が示されるまで対策を取らないと言っているように思えます。まぁ、相変わらずのグダグダ国会なのですが、法案の行方には注目せざるを得ません。
さて、働き方改革法案の骨子は以下です。
主な内容は、法律で罰則付きの労働時間の上限が設けられることです。これまでは、労使協定を結べば労働時間の延長が可能でしたが、できなくなります。
このなかで、裁量労働制の適用範囲を拡大するということが考えられています。テレビでは、ご自身が裁量労働制である弁護士さんやコメンテーターさんが「裁量労働制にすると過労死が増える」という珍妙な理論を、元気いっぱいに話されています。
裁量労働制のほうが過重労働が避けられて過労死が減るのが普通で、統計でもそうなっています。まぁ、厚生労働省のデータですが・・(;´д`)トホホ。
他には、年次有給休暇5日を付与義務化。勤務間インターバル制の導入(連続操業の工場などでは対応に苦慮します。)。いわゆる同一労働同一賃金として、パートタイムや派遣労働者への待遇改善(賃金を上げることになります。)などです。
いずれも、経営者(特に中小企業)には厳しい内容です。ただ、これを機会ととらえ、会社の総力を結集して、労働生産性の向上に徹底して取り組んでいかなければなりません。
このまま廃案にならないかぁ~、なんて期待しちゃダメですよ。