中小企業診断士試験の最後の面接試験も若干は圧迫面接気味できます。
圧迫面接というのは、面接試験の際に、わざと威圧的な態度で意地悪な質問をして、受験者の反応を観るというものです。とかくの批判もあるようですが、どんな会社でも組織でも、程度の差はあれ必ずやっていると思います。
よくある手口は、グッドコップ・バッドコップ(良い警官・悪い警官)というものです。テレビドラマでお馴染みですね。
診断士の面接試験も2人の試験官?がいて、一人はきちんと座っていて、もう一人は足を投げ出して座っていました。まぁ、この場合はネタバレしているので微笑ましいばかりですが。
ビジネスの交渉においても、こういうやり方はよくやります。実際に難しい交渉に臨むときは、参加者の人選は配慮します。例えば3人で交渉の席に着くのであれば、➀この案件を成就したい願っている担当者、②必ずしもこの案件によいイメージを持っていない担当者の上役、③対立する案件を含めて情報を持っている企画担当者、なんて配役を決めます。
交渉の場で誰がどんな態度をとるのかは事前に詰めておきます。平昌オリンピックの機会に開催された南北朝鮮間の交渉で、北の②の役割は金与正氏が務めました。韓国の文大統領の頭頂部を凝視するような顎の出し方なんて、しっかり練習してきた様子が分かります。
交渉の席では、会社での普段とは違う態度をとるので、事前に打合せをしておかないと仲間の方がビックリします。
私も②の役をすることがありましたが、普段は柔和でオシャベリでも、この役は基本的にダンマリです。資料を眺めながら、時には深いため息をついたりします。これで、交渉結果にプラスの効果があったかは分かりませんが、できるだけのことはしようということです。
また、役割分担を決めておくのは拙速な結論で大きな失敗になることを防ぐという実務的なメリットは確かにあるます。日本の中堅企業の交渉は、大抵こんなところでしょう。
大企業の場合の交渉術は違います。M重工さんなどと交渉すると、先ず人数が多いです。こちらも、できるだけ掻き集めて5人とか7人とかで臨んでも、10人15人と並びます。これもある種の圧迫術ですね。
一方で、中国やアメリカの会社では責任者1人と秘書の2人だけというのが多いです。
中国の場合はあらゆるものの権限がその部門のトップ1人に集中しています。トップでしか、何も決められないので交渉にはトップが出てきます。
アメリカの場合は逆で、それぞれの事案の責任と権限を担当者に全権で付与します。上役はその担当者の決定を支持するだけですが、もちろん失敗すれば担当者もろとも降格します。
どういう相手との交渉でも、相手を知って事前に作戦を練っておくことは無駄になりません。