平昌オリンピック。日本勢の活躍は望んでいた最高の結果と言ってよいでしょう。
どんなスポーツ競技でも、選手が達成する記録には、いろいろな外部要因が関係します。最もシンプルな運動である陸上競技100mとかマラソンでも、シューズやウェア、競技場のトラックなどの進歩が成績に関わります。
冬季五輪の競技は全て道具を使っておこわれますから、この傾向が顕著です。
スピードスケートでも、札幌オリンピックのときは真駒内屋外競技場で開催されていました。名前の通り屋外にあるリンクですから、天候(風)の影響をそのまま受けます。成績を伸ばすのは難しかったと思います。
右に、スピードスケート男子500mの世界記録が戦後どのように短縮されてきたかを示しました。
最初にリンクの整氷という技術が発達してきました。当時は天然氷のリンクですから、表面を滑らかにすることで成績が上がっていったようです。
その後、アメリカで整氷車が開発されてリンク整備は飛躍的に向上します。
選手の服装もセーターにニット帽というスタイルからワンピースのレーススーツに変わり、現在では空気力学を研究した新素材になっています。また、スケート靴がオランダの会社が開発した、踵が離れるスラップスケートになったときはかなり驚きました。
さらに記録に貢献したのが、1988年のカナダ・カルガリー、2002年のアメリカ・ソルトレークのオリンピックで建設された標高1000mを超える高地にある高速コースです。現在の世界記録も日本記録も、全てこの2つのリンクいずれかで達成されています。
小平選手も優勝インタビューのなかで、次の目標を「今シーズン最後のカルガリーの試合で500mの世界記録を出すこと」と言われていました。
さて、グラフを見るとわかるように、この10年間ほどは記録の更新が停滞しています。画期的な変化が、底をついたということでしょう。これからは、地道な努力の積み重ねで1/100秒を削っていくということかも知れません。あるいは、それをブレークスルーするようなスケート靴とかが発明されるでしょうか?興味は尽きません。