うには独特で複雑で面白い

山口県は、うに加工品の生産で全国的に有名です。

 

バフンウニ
バフンウニ

うには独特で複雑で面白い生きものだと知りました。うにを漢字で書くと、海胆あるいは海栗です。雲丹と書くと加工されたうにのことだそうです。

(ここからは、カタカナで書きます)

 

日本で食用にされるウニは、北日本ではキタムラサキウニ・エゾバフンウニ、西日本ではムラサキウニ・バフンウニ・アカウニ、沖縄でシラヒゲウニの6種類です。山口県では主にバフンウニです。

 

ウニはヒトデやナマコなどと同じく棘皮動物に分類されます。動物とはいっても、とてもユニークでヘンテコですよね。身体は五方向に放射相称形で、頭が無くて身体の前後左右がはっきりしない。身体のなかは空洞で、血管が無く、排出孔も無い。身体が殻や棘で覆われている。よく考えると不思議です。

 

ウニは今では高級食材で滅多にお目に掛かりませんが、昔から食べられていたようです。縄文時代の遺構からウニの殻が見つかったりしています。ウニが出現したのは、今から5億年ほど前の古生代オルドビス紀に遡るそうです。ウニの口には五つの歯があるように見えることから、ランタン(提灯)と言われますが、これを名付けたのは紀元前4世紀のアリストテレスです。「動物誌」という本に書いてあります。昔から人の身近にはあったようです。

 

ウニで食べている部分は、実は生殖腺です。ウニは雌雄異体なのですが、主に未発達の生殖腺のみが食用になります。つまり、これから精巣か卵巣になるか、なったばかりの段階です。

つまり、他の動物のように肉ではないので、水分が多くてすぐに腐食しますし、自己消化が起こって身が崩れます。生ウニが食べられるようになったのは、チルド冷蔵輸送技術が発達した近年のことです。

 

それまでは、ウニは塩辛などの加工品としてのみ流通していました。

山口県下関市の六連島では、文化文政の頃からウニの塩漬けを長府藩主に献上していたそうです。それでも長期の保存には耐えられず、梅雨の時期を越えることは難しかったのです。その後、明治22年に六連島西教寺の蓬山和尚がウニの塩辛に焼酎を入れることを考案します。この効果は思った以上に大きくて、細菌の繁殖を抑制するだけでなく、自己消化酵素の働きを止めて味の変化も防ぎ、色素の発色を促すなど、ウニに最適の加工方法だったのです。

この発見が、山口県がウニ加工品の大産地になったきっかけだそうです。