3人である報告書のチェックをしていたら、この「KY活動で成果・・」って何だ?と尋ねられました。KYは”空気が読めない”って意味じゃないですよ。
KYが”危険予知”を意味するのは、ものづくりの世界では常識です。私も30年近く前ですが、中災防(中央労働災害防止協会)のKYトレーナー研修(トレ研)に参加しました。3日間の研修ですが、今でもほぼ同じカリキュラムでおこなわれているようです。
カリキュラムを抜粋してみます。
【1日目】 指差し呼称・指差し唱和・タッチ&コール、KYT基礎4R法、朝礼・終礼の進め方
【2日目】 1人4RKYT、KYTトレーナー演習(KYT基礎4R法)、ワンポイントKYT
【3日目】 ワンポイントKYTトレーナー演習、自問自答カード1人KYT、適切指示即時KYT、ゼロ災チームミーティング、自己決定・チーム決定ミーティング
KYTは”危険予知トレーニング”のことです。ゼロ災(”労働災害ゼロ”のこと)達成の基本になります。指差し呼称は「○○よし!」と指を差して点検する方法で、失敗を1/6に減らすことができます。
30年前のトレ研での、グループ演習の思い出です。研修には私のように工場で働く人が多かったですし、30歳代が中心でした。グループの中に、少し年上(と、言っても40歳代)で凄く気合の入った方がいました。最初の指差し呼称のときから、姿勢は正しく、所作や声出しも様になっています。JR貨物の方でした。
当時、国鉄が分割民営化されてJR貨物が分社独立して数年でした。モチベーションの低下なのか、鉄道構内での貨物入替中の人身事故が続けて発生して、ニュースになっていました。
その方も、危機感を持って研修に参加されていたようです。「鉄道マンが構内で車両と接触して事故に遭うなんて、河童が川を流れるようなもので、こんな恥ずかしいことはない」と言っておられたのが印象的です。とにかく、熱意が溢れている人でした。
指差し呼称は、国鉄で発明(国鉄では指差喚呼:しさかんこ)されました。JR貨物でも安全は文化として引き継がれていかなければならなかったと思います。
その後のJR貨物の状況についてはよく知りません。あまりニュースで聞かなくなったので、安全への取り組みが成果を上げたのだと思います。(事故がおこればニュースですが、無事故をいくら続けても話題にはなりません。)
事故防止のためのハードやソフトは日々進歩していきます。鉄道でも自動運転あるいはそれに近いシステムが導入されています。しかし、最後の砦は人(の心)だと強く思います。