北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)が、完成に近づいているということです。
ICBMを発射するのには多額の費用がかかるというイメージを持っていました。また、そういう報道も多かったと思います。
数百億円の費用がかかるので、経済制裁を受けているなかでは、その開発は容易ではないように感じていました。国民が貧困に喘ぐなかで、巨額の費用をお腹の足しにならない大きな花火に使っていると、国内から不満が噴出するのではないかと、期待していました。
今回の北朝鮮の新型ICBMの発射をみると、どうやら多額の費用がかかるというのは幻想のようです。
最初は、麻薬や武器の密輸とか、売春とか、偽札とか、サイバー犯罪とか、隠れた収入減が残っていて、意外にお金を稼いでいて、実はお金持ちなのかとも思っていました。ところが、このところ日本海で大量に見つかる遭難漁船をみると、やはりお金はなさそうです。
その前提で、現在の北朝鮮の国力を考えると、ICBMはどう高めに見積もっても数十億円、もしかすると10億円以下で発射できるのではないか?と思えます。
ビジネスで言えば「後発優位」というものです。
「後発優位」というのは、先発企業に対して後発企業が持つ優位性のことです。
既存の技術や部品を活用して、開発コストを最低限に抑えます。ICBMそのものは、米国やソ連では50年前に開発された技術ですから、論文やデータが公開されています。使用する部品も、市場で容易に入手できるのでしょう。情報処理や制御装置、センサーなどは民生用から転用できそうです。
つまり、後発企業は先発企業より少ない投資で、より高い性能を獲得できます。
これに対して先発企業が取るべき戦略は主に3つです。
1つ目は、後発企業が参入する前の短い期間に利益を吸い尽くすという戦略。2つ目は、先発の経験をコスト削減に最大限生かして後発優位を発揮させない戦略。3つ目は、何らかの方法(例えば知的財産権など)で後発企業の参入障壁を高くする戦略。です。
今回の場合、1つ目と2つ目の戦略は取れませんから、3つ目しかありません。北朝鮮にとっての参入障壁とは何か?を考えることになります。