ビジネスの世界でも相手に勝たなければなりませんから「ゲーム理論」は重要です。
アメリカのトランプ大統領のアジア歴訪が終わりました。対北朝鮮問題が重要なテーマでした。日本の安倍首相との間で、北朝鮮に対して強い圧力を掛け続けることで合意しました。
これに引き続いて、中国の高官が北朝鮮を訪問しましたが金正恩とは会うこともできなかったようです。この結果を受けて、トランプ大統領は北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定して、北朝鮮への圧力を一層高める決断をしました。
そして、北朝鮮はこのところ2カ月余りに渡って、ゲームを楽しむように続けていた核やミサイル実験をおこなっていません。果たして、トランプ大統領と安倍首相はゲームのルールを変えることに成功したのでしょうか?
夏までの日米韓と北朝鮮のゲームは左の図で表されます。日米韓の強気は「圧力」で、弱気は「対話」です。両者の選択肢がそれぞれ2つあるとすれば、2×2で4つのマスがあります。
両方が強気で突っぱねると、北朝鮮は壊滅(-∞)しますが、日米韓にも大きな打撃があります。そこで、対話という選択肢が登場するのですが、ゲームの戦い方は難しいです。
今回、トランプ大統領と安倍首相はゲームのルールを変えることに挑戦しました。つまり、同時に選択するゲームなら選択肢は4つですが、先に強気(つまり「圧力」)を宣言して、弱気(「対話」)を選択肢から外したのです。
これは、ゲームの「交互ゲーム化」と言われる手法です。右の図が、ルールが変わった現在の局面です。北朝鮮の取るべき選択肢が明確になっています。
この「交互ゲーム化」に成功した事例が、キューバ危機のときのケネディ大統領です。
問題は、当時のケネディ大統領ほどのアメリカ国内の支持基盤がトランプ大統領にあるのか?日本の安倍首相はモリカケくらいなら何とか持ちこたえるとしても、韓国の文在寅大統領が動揺していかないか?という懸念です。
ビジネスも同じですが、戦略の崩壊は大抵の場合には味方から起こります。正念場でしょう。