現在、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)で最も高額で買い取られるのは小型風力(20kW未満)の55円/kWhです。
再エネのトップである太陽光発電の買取価格は21円/kWhと制度の開始時点から半額まで下がりました。
一方で、風力発電はずっと下がらないまま,
55円/kWhで維持されています。つまり、小型風力発電はお得です。
これは国として風力発電の普及に期待をしていることの現れです。
風力発電の最大のメリットは夜間でも、4~20m/sの範囲で風が吹いていれば発電できるということです。太陽光発電は昼間しか発電できませんし、雨や曇りの日にもあまり発電しません。太陽光発電の設備利用率は12~14%です。それに対して、風力発電の設備利用率は20~25%と倍くらいあります。
また太陽光発電のパネルは旧来技術のシリコン製で中国品が大半です。風力発電は機械技術や電子技術、炭素繊維などの材料技術などで日本のものづくりが活きる可能性があります。そして、普及に応じて大幅にコストダウンするという日本のお家芸が発揮されると期待しました。
しかし、左のグラフにあるように風力発電の導入は頭打ちで伸びがありません。設備容量で300万kWを超えましたが、設備利用率が20%台ですから中型の石炭火力発電所1つ分といったところです。
普及しないからコストが下がらないのか、コストが下がらないから普及しないのかは分かりませんが、55円/kWでも収支が合わないのです。
また、大きな問題として騒音があります。どうしても羽根が廻るときに音がします。小型風力の静音設計でも人が聴き分けるくらいの騒音は回避できません。大型になると低周波騒音といった難しい問題もでてきます。
何か劇的なブレークスルーがなければ、日本で風力発電が普及するのは難しいようです。どなたか、ヒントはありませんでしょうか?