日経新聞の土曜版に「個性派かまぼこ」のランキングという記事がありました。山口県はかまぼこ類の生産量が日本3位の「かまぼこ王国」です。
さて、「かまぼこ類」という表現です。私などは、”かまぼこ”といえば”板付きかまぼこ”と思ってしまうのですが、「かまぼこ類」は水産ねり製品を広く含みます。
例えば、”巻きかまぼこ”(簀巻きとか昆布巻き)、笹かまぼに代表される”焼かまぼこ”、ちくわ、はんぺん、なると巻。さつま揚げ、ごぼ天、じゃこ天などの”揚げかまぼこ”などなど、全部合わせて「かまぼこ類」です。
全国の生産量は年間47万トン(1人当り4㎏くらい)です。都道府県別では、新潟県・兵庫県に次いで山口県が3.7万トン(シェア8%)で第3位になります。
先に書いたように、かまぼこ類の定義は広いので、地域によって「かまぼこ」のお国柄が随分と違います。生産量1位の新潟県のかまぼこは、板無しかまぼこで”巻きかまぼこ”が主流です。兵庫県では、あなご蒲鉾が有名ですが関西の大消費地が近くに合って、多彩な細工かまぼこが考案されて人気です。
山口県でかまぼこといえば、エソなどをすり身にして板に塗り付け、直火であぶり焼きにした「焼き抜きかまぼこ」です。300年ほど前、江戸時代に開発された製法だそうです。
魚肉を塗った板の下側から直火を当て、中心温度を80度に保ちながらゆっくりと焼いていきます。表面には焼き色がつかないので、”白焼きかまぼこ”とも言われます。魚の風味とシコシコとした歯応えがあります。関東の蒸しかまぼことは違って、身が平らで膨らみがなくて表面にちりめん状の皺があるのが特徴です。
また、おでんにかまぼこやちくわを入れると膨らむのはよく経験するところです。これはかまぼこのなかにある気泡が膨らむわけですが、山口県の焼きかまぼこではありません。ゆっくり焼いてあるので気泡が残っていないのです。加熱すると逆に縮んできます。
山口のかまぼこは魚そのものが板付けで載っているようなものです。そのまま食べるのがポピュラーで、加熱するのではなく温める程度で食べるのが美味しいです。
かまぼこも美味しい山口です。「おいでませ山口へ」