テレビで「鳥人間コンテスト2017」というのを少し見ました。なんと飛行距離40㎞です。
DMG森精機のチームが、過去最高の飛行距離40kmを達成して優勝しました。
琵琶湖の上空を安定して滑空する機体はどこまでも美しく、ひたすらにペダルを漕ぐパイロットは過酷です。工学と人間が醸し出した感動的なゴールシーンでした。
世界で初めて鳥人間になったのは、ドイツのリリエンタール兄弟です。自宅に棲みついていたコウノトリを観察して、鳥になる夢を見ました。その夢実現のために、兄のオットーは鉄工所経営者に、弟のグスタフは建築設計士になりました。
リリエンタール兄弟は先ずコウノトリの滑空をコピーすることに挑戦します。兄弟は、世界初のグライダー飛行に成功するのですが、このときに採用した画期的な手段が、コウノトリの尾羽から着想を得て、水平尾翼と垂直尾翼を取り付けることでした。現在のグライダーの形はリリエンタール兄弟が完成させたものです。
グライダーは滑空できますが、自由に上昇することはできません。何かの力を与えてやることが必要になります。リリエンタール兄弟はコウノトリと同じように、翼のはばたきで上昇する方法を考案します。炭酸ガスの圧力で翼を上下させる方法です。
この世界初の動力飛行を前にした最終テスト飛行の際に、兄オットーが墜落死してしまいました。このニュースを聞いた、アメリカの自転車屋の兄弟が、リリエンタールの開発していた複葉機にエンジンを載せて世界初の動力飛行に成功します。ウィルバーとオーヴィルのライト兄弟です。
何故、リリエンタールが”はばたき”にこだわったのかは科学史の謎の一つです。
ドイツでは、ダイムラーとベンツがガソリンエンジンを開発して、自動車に載せていました。このエンジンを熱気球に最初に搭載した(つまり飛行船です)のは、オーストリアのシュワルツで、この事業を引き継いだのが、ドイツのツェッペリン伯爵でした。
はばたき式飛行機はオーニソプターといい、現在でも研究しているグループが世界にはたくさんあるようです。しかし、人力オーニソプターの飛行時間の記録は今でも19秒ほどです。
リリエンタールの夢はいつか叶うのでしょか?