「農業経営アドバイザー」は、かなりマイナーな資格だと思いますので紹介します。
資格の主体は日本政策金融公庫です。平成17年に創設されて13年目になります。
農業経営者に対する経営改善支援に必要なノウハウを有する人材育成を通じ、農業経営の発展に寄与することが目的です。
試験は年に2回あります。
今回受験したのは平成29年度前期(第25回)試験です。今回の受験者数は400名(これが定員)で、税理士・公認会計士38名、地方銀行などの金融機関職員79名、農協職員63名、公庫職員22名、その他38名の計240名が合格(合格率60.0%)したそうです。
これによって、合格者総数は4,295名。内訳は、税理士・公認会計士973名、金融機関職員1,795名、農協職員637名、公庫職員305名、その他585名です。
中小企業診断士は「その他」です。
合格率が60%と高いから簡単だと侮ってはいけません。
受験には研修受講が要件で、且つ面接試験があります。東京に1週間+1日行く必要があるので、機会損失分も含めると数十万円の費用が掛かります。私のような士業の者はともかく、地方の金融機関やJAなど、農業経営支援をおこなっている機関から派遣されて受験する人はたいへんです。当り前ですが、簡単に落ちるわけにはいかないです。
筆記試験は4科目(「農業簿記・税務」「労務管理」「農地制度」「農業政策」)です。レポート試験は2科目(「農業経営診断」「農業マーケティング」)です。
6科目全てが合格点(60点)以上だと合格です。1科目だけ合格点に足らなければ翌年その科目だけ再受験できるという救済措置があります。2科目以上不合格なら、1から出直しです。
合格者は、最後に面接試験(グループ面接)を受けますが、これは落とすための試験ではなさそうです。ちゃんと話ができるかを確認するレベルです。
試験で難しかったのは「農業簿記・税務」です。合格60点に対して平均点65点でしたから、多くの人がこの科目で苦労したと思います。事前に農業簿記3級と2級の問題集を割と丁寧に全問解いてから受験したのですが、時間が足りませんでした。
その他の科目も、テキストが事前に指定されているので一通りは読んで理解してから受験することをお奨めます。中小企業診断士のように農業にあまり深く関わっていない人には、農業に関わるエトセトラはすっと腑に落ちません。研修で初めて聞いたことを理解するのはちょっと難しいので、予習はしていきましょう。
これを機会に、農業経営者の皆さんの支援に、一層力を入れていきたいと思います。