テレビで行列が出来るラーメン店などが紹介されます。こんな店は、顧客満足度100%ではないですよね。
「ポストモダン・マーケティング」のなかで、S.ブラウンが企業が過度に顧客満足を追いかけることに否定的な意見をぶつけています。
「売り手企業が成功するには。顧客をからかって、じらして、苦しめなければならない」と言っています。
長い行列で顧客を待たせるような店は、顧客志向という観点では落第です。しかし、顧客はその店に集まるわけです。
つまり、店が顧客を引き付けるのは顧客満足ではないということです。顧客をバカにすることによって、顧客の方が店を追いかけるようになるということもあります。
顧客維持率が高いほうが収益性は高くなります。しかし、顧客満足度が高いほうが収益性が高くなるわけではありません。
グラフに描いたように、顧客満足度ゼロでは収益性もゼロです。顧客満足度が向上すると顧客が集まってきて繁盛します。つまり、顧客の購入量が増加し、購入単価が上昇し、顧客が顧客を紹介し、営業に要するコストが縮小できます。
しかし、顧客満足度はある水準を超えると収益性が減少に転じます。あまりにも高い顧客の要求に応えようとするとコストが勝ってしまいます。
そうは言っても、ビジネスは顧客次第です。顧客を集めて、維持することが必要です。徹底して顧客満足度を高めていくのか、それとも顧客満足以外に訴えるものを開発するのか。難しい課題です。