世界の種苗市場規模は5兆円

タキイ種苗の社史を目にする機会がありました。創業は1835年(天保6年)だそうです。

 

ISF:International Seed Federation のウェブサイト
ISF:International Seed Federation のウェブサイト

野菜や果物を栽培する際には、種や苗が必要です。このため、種苗会社が存在しており、その世界市場規模は約5兆円なんどそうです。

このうち、日本の市場規模はおよそ2500億円(5%)くらいです。大手種苗会社3社、タキイ種苗、サカタのタネ、カネコ種苗がそれぞれ500億円超の売上を上げています。この3社が世界では10番目くらいの規模になります。圧倒的な世界一はアメリカのモンサントで種苗売上が年間1兆円弱に上ります。

 

日本の種苗メーカーがつくる野菜類の種苗は品質がよくて、輸出も伸びています。平成23年に89億円だった輸出金額は28年には110億円になりました。

一方で、輸入はこれ以上に伸びていて、平成23年に75億円だった輸出金額は5年後の28年には倍増の147億円になりました。これは、球根や飼料作物など日本にない種苗を輸入していることもあるのですが、日本の種苗メーカーが海外で交配して日本に持ち帰るというシステムが確立してきたことが主な要因です。

 

世界の種苗貿易額は急激に伸長しており、貿易金額は1兆3000億円にもなります。種苗ビジネスには、目が離せません。

 

そんなタキイ種苗の社史を目にしました。創業者の瀧井治三郎が種苗業を興したのは、幕末のころ、天保6年の京都です。

京都には天皇をはじめとした貴族が住み、神道や仏教など宗教の中心でもありました。精進料理、有職料理、懐石料理などを総合した京料理には、京野菜が欠かせません。京都特有の気候風土が育んだ野菜の固有品種を改良して、九条ネギや聖護院カブなど、京都のブランド野菜が誕生しました。

 

タキイ種苗は幕末に京都で創業しましたが、大正時代には種苗の輸出を手掛けて、英文でのカタログ販売などもおこなっています。農業の海外展開はまだまだ端緒についたところですが、種苗という分野では100年の先達があるということですね。