「君子は和して同ぜず小人は同じて和せず」論語のなかでも特に有名です。
論語のなかでも特別によく知られた言葉ですが、このところのちょっと気になります。
孔子が言っていることをまとめると、「すぐれた人物は、協調はするが、おいそれとは同調しない」「つまらない人物は、たやすく同調はするが、協調しない」ということです。
私は「和しても同じない」と説明している。マスコミは「和していて、同じていないはずはない」と報道で持論を展開している。
客観的な事実はなくても、マスコミは同調して「日本の首相はつまらない人物のはずだ」とキャンペーンする。ちょっとおかしいですね。
孔子には「郷原は徳の賊なり」という言葉もあります。郷とは孔子の時代では大きな街のことです。原は善(善いこと)という意味です。つまり、街じゅうの人がみんな揃って善い人だと讃えるような人は、徳を盗むようなダメな人だと言っています。
会社のトップでも、全社員に慕われているような社長はまだまだ半人前です。もちろん、全社員に嫌われている社長はもう終わりですが・・。好い社員に慕われ、そうでもない社員には嫌われているような社長がベストです。社内に敵もいないような社長では、本当の味方もできないものです。
会社が苦境に陥ったときに、経営者と授業員の真価が問われるものです。破綻の淵に近づいたとき、経営者とともに第一線に立ち向かう幹部社員ややる気のある有能な若手社員は意外に少ないものです。特にみんなに好かれていたような好人物の社長の下からは、蜘蛛の子を散らすように人財が消えていきます。
苦境の時こそ、真の人財を見極めることができる絶好のチャンスです。
業績がよくて社長の人気が高いうちは、誰が「和して同ぜず」のすぐれた人物か、誰が「同して和せず」のつまらない人物なのかが、よく見えません。騒動が勃発して苦境になると、人材の見極めがつきやすくなります。
改めて、しっかり仕事をすることができる要員が整うこともあるでしょう。
論語は、リーダーはひたすら道理を通せと言っています。孔子は、部下や国民に分かりやすく丁寧に説明するなどということは、大衆に迎合することとして憎んでいます。論語の書きぶりは過激ですから、こういう君主を激しく罵倒します。
孔子は、リーダーは、好くない人や、凡人に嫌われてもよい。正しい道筋をひたすら歩みなさいと諭しています。あたり障りがなく、あの社長は好い人だと言われるようなら、トップリーダーではなくて、迷惑なだけだと言います。
さて、これからどうなるのでしょうか? 丁寧な説明を棄てて、道理を貫くなら、思わぬ超長期政権となるかも知れないと思います。