国家戦略特区諮問会議の議事録を読んでみた

クルマで移動中にNHKの国会中継を聞いていて、問題の本質がよくわかりました。

 

国家戦略特区諮問会議(首相官邸)
国家戦略特区諮問会議(首相官邸)

聞き流していた私にもわかるのですから、マスコミに登場する人にも本当は当然わかっていると思います。

 

今日の国会中継を聞いていて、わかったのは首相を含む政権の中枢にいる関係者一同が、当時は獣医学部新設をそれほど重要なテーマと認識していなかったということです。

数ある政策課題の一つであって、しかも国家の存亡や、国民の生命財産などに直接影響があるテーマでもありません。粛々と手順通りに進めればよいという、作業だったようです。

 

しかし、政府としてはそんなことは言えません。獣医学に全く関係もなく、興味もない人でも、政府が「たいしたテーマでもないので、事務的に進めた」なんて言ったら大問題になります。いみじくも、首相補佐官の方が、2年半前に今治市の職員と面会したのか?という質問に対して、若干気色ばんで「大きなテーマを多数抱えて忙しかったので、そんな(つまらない)ことは覚えていない」的な返答をした程度です。

 

国家戦略特区諮問会議は首相が議長を務めており、重要な会議だと言われています。

毎月1回会議が開催されて議事録が公開されています。ちょっと読んでみました。

☞ 首相官邸トップ>会議等一覧>地方創生推進事務局>国家戦略特区>国家戦略特別区域諮問会議 でたどり着けます。

 

議長は安倍首相です。議員は麻生・菅・山本(幸)・石原の4大臣、有識者として秋池玲子(BCGシニアパートナー)、坂根正弘(小松製作所相談役)、坂村健(IT学者)、竹中平蔵(経済学者)、八田達夫(経済学者)の5人。ここまでで10人のメンバーに、副大臣とか政務官とかワーキンググループのメンバーとかが加わって、15名くらいの会議です。

 

議事録に会議の開始と終了の時刻が記されていますが、会議に要した時間を直近の5月22日開催から遡ると以下のようになります。

5月22日:21分間・3月6日:18分・2月21日:30分・1月20日:19分・12月12日:25分・11月9日:38分・10月4日:33分・9月9日:23分・・・。

十数人が参加して、だいたい30分弱という会議です。 思ったよりずいぶんと短時間です。

 

議事録にみる限り、議長である安倍首相は会議中に発言をしていません。実際の議事は、この期間では山本担当大臣が進めます。

本体の会議が終わるとプレスが入室してきて(上の写真)、首相が総括の発言をして写真撮影があって終了です。最初から用意された原稿を読んでいるだけだと思います。

 

この間の議事録に獣医学部新設問題はちょこちょこと出てきますが、逆に言えばそれほど頻繁には出てきません。・・以下の字数はWordにコピペして数えた字数です。発言者氏名など含むので概数です。悪しからず。・・

 

獣医学部新設を認めたという重要な(といわれる)11月9日の会議では、議事録11854文字中で、獣医学部に関連するのが1297文字(10.9%)分です。但し、「獣医学部新設します。異議なし。」部分は294文字です。残りは麻生大臣と八田議員とのやりとりで「獣医学部新設によって、既存獣医学部のなかでダメなところを退場させる仕組みをつくる」なんて、議論がありました。

いやいや、これは既存獣医学部としては困った議論です。しかし、注目されるテーマです。要するに新しい獣医学部をつくる先には、既得権に安穏として成果を上げられない大学を淘汰しようという考えがあったということです。まぁ、一般社会では常識的な考えですね。

 

次に、安倍首相が加計学園による獣医学部新設をはじめて知ったという1月20日の議事録の文字数は6646文字でした。うち獣医学部に関連した部分は568文字(8.5%)です。全体が19分の会議ですから、1分40秒くらいですね。

 

なんだか、ヤレヤレですね。要するに、当時は安倍首相も自らが重点的に推進する課題とは思っていなかったというか、会議に任せておけばいい案件だったのでしょう。他にもっと重要な課題があったということも確かです。

もちろん、今も日本には重要な課題はあるのです。長く停滞しているようで、少々心配です。