今日は工場の受電設備のお話です。近年では、工場の電気使用設備が進歩して、省エネが進み、力率の遅れが減っています。
経営者向けのブログなので、学問的な正確性はちょっと置いといてください。
「電力=電圧×電流」です。交流電源の場合に電圧と電流の位相がズレが起こります。
白熱電球のような抵抗負荷の場合は、位相はズレません。モーターのような誘導負荷の場合は電圧に対して電流の位相が遅れます。コンデンサのような容量負荷の場合は逆に電流の位相が進みます。
位相がズレると、電圧と電流のプラスとマイナスの符号が逆になり、電力がマイナスになる無効電力ということになります。工場などでは、モーターのような誘導負荷が圧倒的に多いので、無効電力が増えます。こうなると、電力会社はその分の電力を余分に供給しなければならなくなります。
力率とは、電力に対する有効電力の割合のことです。電力会社は力率85%(無効電力15%)を基準にして、それより高い場合は力率1%につき基本料金を1%割引します。
このため、各工場では力率改善のために受電設備に容量負荷(進相コンデンサ)を入れて、電流の位相を進めることをします。大手の工場では、この容量負荷の大きさは自動調整されるようになっていて、位相がピッタリ合うようにしています。
しかし、中小工場では力率100%以上になるように、ちょっと大きめのコンデンサを入れているのが普通です。尚、力率が100%を超えていても基本料金の割引は減りません。
近年は工場の省エネ化が進んだので電力負荷が減ってきましたので、ますますコンデンサが過剰に大きいというケースが増えてきました。この結果、受電設備側での電圧上昇などが頻発することになっています。電圧上昇は、工場の機械にダメージを与えて寿命を短くしますし、電力料金をムダに支払うことにもなります。
特に休日や夜間など負荷が極端に減るときは要注意です。工場の管理者でも、意外に気づかないことが多いようです。一度、専門家に聞いてみるとよいでしょう。