ビジネス上のコミュニケーションで最も重宝なツールは電子メールでしたが要注意です。
以下は、主に官公庁や公開会社など大手企業に勤める方向けです。
文部科学省の加計学園問題に関する電子メール、少し前の大阪府の橋下知事に関するメール、マイクロソフトの独占禁止法違反事件のものや東海ゴムの強度偽装のものなど、電子メールを単なるコミュニケーションツールと考えてはいけないと分からせる事例が、近年はたくさんあります。
公的機関でも、民間企業でも電子メールには注意が必要です。
役所のメールアドレスを使用した電子メールのやりとりは、たとえ1対1の報告・連絡・相談であっても公文書という扱いになります。これは肝に銘じておく必要があります。
民間企業の場合も、会社のアドレスを使用したメールのやり取りは、それを関係者が共有しているか否かに関わらず、記録として訴訟での証拠となります。
尚、ISOでは「文書」は改訂可能なもので、書き換えてはならないものを「記録」といいます。電子メールのやりとりは受信者側では「記録」です。
また、電子メールは有形物ではないという意味でも「文書」ではありません。ということは、仮に1対1のメールのやり取りでも「信書」ではないので、秘密が保護されません。
ビジネスにおいて電子メールは便利なツールですが、取り扱いには十分な注意が必要です。
1対1のメールは微妙なニュアンスを読み手側に任せた書き方になっている場合が多いので、1対1のコミュニケーションツールとしては電子メールを極力使わないこと。自分だけに届いたメールは、読み終えたら破棄することです。間違っても他人に転送してはいけません。
複数の関係者に送るメールも、これは公的文書なんだと心得て作成することです。
後輩に飲み会の誘いをしたメールでも、会社のアドレスで送った以上は会社の公的な記録になります。通販サイトに会社のアドレスから注文するなんてのは論外です。
ちなみに、電子メールの公的性を悪用してフェイクメールを送信するのは破廉恥です。
個人のアドレスで送ればよいのかというと、これも注意が必要です。
全くプライベートなメールを勤務時間外に会社の外から相手の個人アドレスに送るなら構いません。しかし、仕事に関わる内容を送ることは、ヒラリーさんの例を持ち出すまでもなく、セキュリティーという面でNGです。また、メールを送った相手から信用されなくなるなど、業務にもマイナスが出る可能性が高いです。皆様、気をつけましょう!