「一億総ツッコミ時代」は、槙田雄司(マキタ・スポーツ)さんが2012年に書いた本です。
5年ほど前の本ですが、最近の日本の状況を予言しているような気がします。
「日常がバラエティ番組化」していて、ツッコミという「他罰的」なコミュニケーションが蔓延しています。気に入らない発言を罵倒し、嫌いな人のブログは炎上させる。目立つ言動にはツッコミの総攻撃。自分では何もしないし、何の意見も持っていないのだけれど、他人や世の中の出来事には上から目線で批評し、批難する。
日本が動くに動けない閉塞感の正体は「ツッコミ過多」にあり、現代は「一億総ツッコミ時代」だ。
「ツッコミ」ではなく、「ボケ」に転身せよ。「メタ」的に物事をみるのではなく「ベタ」に生きろ。息苦しい空気を打破して、面白い人生にしよう!
20分あれば読めますが、とても面白い本でした。このところの、政治やマスコミの動きから連想して、再読してみました。
最後の「メタ」と「ベタ」は我々世代には判り難い単語です。「メタ」は”一段階上からの目線で”、”一つ上の次元から”といった意味ですが、”流行”とか”空気に流されて”と言い換えることもできます。一方の「ベタ」は”特別ではない”、”ありのまま”、”ありきたり”、といった意味ですね。
本の内容は読んでいただくとして、漫才の歴史にも少し触れています。私たちがよく知る漫才ブーム(広島県民としては”B&B”ですか?あっ佐賀だっけ?)の後に、ダウンタウン・とんねるず・ウッチャン・ナンチャンなんかが出てきました。
ダウンタウンの松本人志さんが考案したのが「キレ芸」というものだそうです。苛立ちのあまり「僕は〇〇が許せないんですよ!」と自分の思い通りにならないことを理不尽に他人のせいにして笑いをとります。また、「逆ギレ」も松本人志さんが元祖なんだそうです。
今では、松本人志さんはニュース・ワイドショーでコメンテーターを務めていて、その発言がニュースになります。そして、現代は多くの人が「プチ松本人志」になったということです。