まだ労災保険の未加入事例があります。労災保険は事業者(経営者)のための保険です。
政治家の方が事務員など職員を労災加入していなかったというニュースがありました。
会社など法人はもとより、個人事業主でも、誰か一人を雇用(パートやアルバイトでも)すれば、労災保険は必ず加入しなければなりません。
そこで、誤解のないようにしたいのは、労災保険は労働者のための保険ではなく、事業者(経営者)のための保険であるということです。
労災保険以外の雇用保険・健康保険・厚生年金などは労使折半で支払います。事業者の負担は半分です。これに対して労災保険は全額が事業者負担になります。このため、従業員のために会社や事業主が負担してやっているという間違ったイメージを持ちがちです。
実際は、従業員が仕事に関わって事故や災害に遭ったときには、会社や事業主は、その費用を全額負担する法的な義務があります。この費用は治療費だけでなく、休業中の収入や家族の生活の補償、場合によっては障害の補償や遺族に対する補償など広範囲に渡ります。これは会社や事業主に過失がなくても免れませんし、従業員が退職しても完治するまで終わりません。
それなら、従業員や家族にお願いして費用を減額してもらおうと思ってもダメです。仮に労災保険に故意に未加入のときに、従業員が事故にあったとします。その補償は労災保険から全て支払われます。つまり、国が一旦支払うのです。
そして、国はその費用の全額を事業者から徴収します。国にお願いしても、なかなか負けてはもらえないですよね。労災保険料をもったいないと思うような事業者であれば、その費用を負担できるでしょうか?
つまり、労災保険は従業員のためではなく、事業者のための保険です。どうぞ、お忘れなく。