クレジットカードは便利なものですが、実は借金をしているのだという認識を持ちましょう。
クレジットカードの信用供与残高は昨年末で約10兆円です。このところ、毎年7~8%伸びています。
民間最終消費支出に対するクレジットカードでの決済比率は約16%です。
電子マネー(プリペイドカード)とデビットカードを合わせたキャッシュレス決済は約18%になります。
近年、東京オリンピックの開催や、海外からの観光客の増加に伴って、クレジットカードの使用を推進するという動きがあります。
クレジットカードが使える店舗を増やすとか、極端に言えば「どんな店でもクレジットカードを使える」ことを目指すとか、賑々しいです。
しかし、クレジットカードは、つまりは借金をしているのだということを忘れないでください。仮に1回払いと言っても、翌月に銀行口座から引き落とされるまでの間、お金を借りているのと同じです。
メルカリで「現金が売られる」という衝撃的な事態がありました。1万円の現金をクレジットカードで1万1千円で購入するという手法です。売る方は1万円が1万1千円になります。買う方は、今1万円が手に入り、1万1千円はクレジットカードの1回払いでも翌々月の指定日に口座から落ちます。1万円借りて、2カ月後に1万1千円の返済をする(実際は、できない人も多いでしょうが?)ということです。
貸金業者(消費者金融)の貸付残高は約22兆円ですが、うち消費者向けは6兆円です。クレジットカードの残高10兆円は、消費者の借金としてはとても大きいです。1億人で割れば、一人当り10万円の借金を抱えているということになります。
日本では、外国に比べてクレジットカードの普及が遅れているという人がいますが、これは都市伝説です。騙されないことです。
この伝説が産まれたのは、お隣の韓国が世界で断トツのクレジットカード大国であることとの比較です。韓国では、消費決済の70%以上がクレジット決済です。さらにデビットカード決済が15%以上ありますから、飲食でも少額の買い物でもキャッシュレスです。
日本よりクレジットカード決済率が高い国は、韓国の他は、アメリカ・カナダ・オーストラリアくらいです。ヨーロッパの国はクレジットカード決済率は低くて、ドイツやフランスは1%未満です。イタリアで5%、イギリスで11%といった決済率です。
ヨーロッパでは、クレジットカードでなくてデビットカードがよく使われます。デビットカードは、銀行のキャッシュカードと同じですから銀行口座から都度キャッシュレスで引き落とされます。借金にはなりません。
何となく、クレジットカード決済率を上げていこうという風潮が見えます。これで儲けるのは誰で、リスクを負うのは誰か。少し考えればわかりますよね。
便利なものを使うことを妨げるものではありませんが、慎重に取り扱うことを薦めます。