平成27年10月30日に定められた「果実酒等の製法品質表示基準」は、3年間の猶予期間の後、来年の平成30年10月30日から運用が開始されます。
変更の背景は、日本産ワインが評価を高めているなかで、粗悪な商品も混ざってきています。日本ワインを成長産業として育成するために、表示を厳格化することになりました。
現在、日本国内で「国産ワイン」を購入したとしても、その85%には外国のブドウ(果汁)が使われているそうです。要するに、国内の醸造所でつくられたワインなら「国産ワイン」になるそうです。
今回の表示基準では、この「国産ワイン」という表示はできなくなります。
日本のブドウを100%使って、日本国内の醸造所でつくられたワインだけを「日本ワイン」と表示できます。これまでのように輸入ブドウをつかったワインは「国内製造ワイン」となります。
「国産」と「国内製造」では印象が随分違います。輸入ブドウは主に大手メーカーがつくるワインに使われています。輸入ブドウを使うことの少ない地方の中小ワイナリーには追い風、大手メーカーには向かい風になりそうに思えます。
ところが、中小ワイナリーでは「日本」ではなく、狭い範囲の地名をブランドにしていることが多いです。これはこれで問題です。
例えば、(実際にはありませんが)山口県下関市のワイナリーが、山口県岩国市でとれたブドウをつかってワインをつくった場合を考えます。このワインは間違いなく「日本ワイン」です。いずれも山口県内ですから「山口ワイン」と表示しても構いません。しかし「下関ワイン」とか「岩国ワイン」と表示してはいけません。「下関ワイン」とは、下関のブドウを使って下関の醸造所でつくられたワインに限られます。
この場合は、「山口ワイン~下関醸造ワイン」とか「山口ワイン~岩国産ぶどう使用」という表示になります。
全国のご当地ワインの多くは、観光名所など知名度の高い地名を使っているケースが多いですが、その市町でとれたブドウをその市町で醸造していないなら、ブランド名を変えないといけなくなります。少し困りますね。
まぁ、全体としては、きちんと醸造している地方のワイナリーには追い風になりそうです。「日本ワイン」として、大手メーカーに対抗できるチャンスかも知れません。
以上、大雑把に書きました。細かいルールは国税庁のウェブサイトをご覧ください。