中小企業に対する金融機関の姿勢を知る

日本銀行が金融機関の貸出態度を3カ月に1回の頻度で調査して公表しています。

 

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最近でも、社長さんから金融機関が貸出に積極的で「借りてくれ」としつこいのだという話を聞くことがあります。それを聞いて、私の会社にも簡単に貸してくれると思うと間違いです。当然、ケースバイケースで経営状況のよい会社には、積極的に貸付をしたいが、そうでない会社には絞るわけです。金融機関の全体の動向を日銀の調査から見てみましょう。

 

日本の主要50行が対象の調査で、毎年1・4・7・10月の4回公表されています。

下のグラフは日本銀行の「主要銀行貸出動向アンケート調査」の結果から、中小企業向けの貸出動向を示したものです。

 

日本銀行:貸出動向(中小企業:資金需要判断DI/貸出運営スタンスDI)
日本銀行:貸出動向(中小企業:資金需要判断DI/貸出運営スタンスDI)

 

下にある青のグラフが、中小企業の資金需要判断DIです。中小企業がお金を必要としていると感じている金融機関が多くなると高くなります。2014年以降、ほぼ横ばいで+5前後で推移しています。2015年の4月と7月が凹んでいますが、前年の消費増税や天気不順の影響があって個人消費が一時的に落ち込んだ時期にあたります。

 

上にあるオレンジ色のグラフが、中小企業向け貸出運営スタンスDIです。金融機関が中小企業にお金を貸すことに積極的であれば高くなります。2014年1月をピークに2016年7月までグラフは右肩下がりでした。つまり、金融機関は中小企業向け融資に慎重姿勢だったわけです。足下では2016年10月・2017年1月と少し上向きましたが直近4月はまた下がりました。

 

つまり、全体としては金融機関の融資姿勢はそれほど積極的ではなく、貸出条件も緩和されてはいません。中小企業の経営状況をしっかり見ていこうというスタンスです。

中小企業経営者としては、金融機関に対して正直に情報提供をして、経営に対するアドバイスを受けながら、金融支援の相談をするという姿勢が大切です。