赤は「明るい」黒は「暗い」黄は謎?

酸化鉄の色は結晶構造の違いによって、赤・黒・黄・緑などがあります。

 

地球は鉄の惑星と呼ばれるように、地球の質量の30%が鉄です。鉄ほど人類の身近にあって、利用が容易な物質はありません。鉄はとても親和性の高い元素で、いろいろなものとくっついて新たな性質を持ちます。鉄は酸素と結びついて生物の体内で酸素を運ぶ役割も担います。人間が酸素という高いエネルギーを使って生きることができるのも鉄のおかげです。

 

さて、酸化鉄は文字通り酸素と鉄でできています。その酸化鉄の構造によって異なる色になります。最も知られているのがベンガラ(ヘマタイト・赤鉄鉱)で赤色をしていてα-Fe2O3という構造の酸化鉄です。コピー機のトナーに使われる鉄黒(マグネタイト・磁鉄鉱)は黒色をしてFe3O4という構造です。黄色の顔料は黄土(ゲータイト・針鉄鉱)でα-FeOOHという構造です。

 

赤の語源は「明るい」だそうです。赤をチームカラーにするわがカープも、今年は明るいスタートを切っています。血の色はヘモグロビンの鉄に由来するのですが、赤は生命の色です。活力と繁栄をイメージします。

一方の黒の語源は「暗い」だそうです。赤の生命力に対して落ち着きや権威を表す色です。このどちらの色も、同じく酸化鉄でつくることができるというのは面白いところです。

 

同様に酸化鉄(本当は含水酸化鉄)でつくられる黄色の語源には諸説あるそうです。黄金というように金色が語源という説が有力のようですが、木の色からという説、生の色からという説、ちょっと酷いのは糞(くそ)の色からという説もあります。

黄色は有彩色のなかではもっとも明るい色です。爽やかに軽やかに前へ前へと進んでいくイメージがあります。この鮮やかな黄色も酸化鉄でつくることができます。

 

酸化鉄がつくる色の世界は、まだまだ深いので、ときどき書いていきます。