厚生労働省は受動喫煙を防止するための健康増進法改正案を国会で成立させたい意向です。
報道では国際的な水準で受動喫煙を防止したい厚生労働省に対して、愛煙家あるいはたばこ関連産業を背景にした有力政治家でつくるたばこ議員連盟が抵抗しているということです。
厚労省の背後には2020年の東京オリンピックを前に受動喫煙防止策を徹底するべきだというWHO(世界保健機関)など国際社会の後押しがあります。これまでの日本なら、この意見はすんなり通りそうなのですが、たばこ議連が強く反対しているというのがニュースです。
自民党のたばこ議連は会長の野田毅さん以下、大物というか強面の議員さんがメンバーなのでワイドショーの映像としては面白いです。どれほど活動されているのか分かりませんが、マフィアスタイルの麻生太郎さんや石破茂さんなども顧問だそうで、写真で登場します。
まぁ、愛煙家の皆さんとしてはたばこは趣味嗜好だという主張なのでしょうが、もう諦めたほうがよいですね。科学的にたばこの害悪は完全に証明されています。健康面でも労働生産性の面でも大きな損失を発生させています。
また、たばこを吸う人もその本数も確実に減ってきていますから、オリンピックを契機にして、そろそろ白旗を掲げるときがきたようです。霞が関カンツリークラブも長年の伝統を諦めて女性の正会員を認めたというニュースもありました。
たばこの販売本数の推移は、右のグラフです。最近10年間の減少率でたばこ離れが進むと、2028年に年間1000億本の大台を下回り、2050年には400億本を下回ります。もはや、愛煙家は絶滅危惧種です。
喫煙者には絶滅危惧種としての社会文化的な資料としての価値はあるかも知れませんが、広範囲な保護の対象にはなりません。
尚、日本では喫煙者が世界的にみて多いという認識があります。統計的には喫煙者が国民の18.2%ということになっています。
しかし、実感としては18.2%(男性だけだと30.1%)も喫煙者がいるような気がしません。これは、統計での質問で「毎日吸っている」「時々吸う日がある」を合計した者を喫煙者としているからです。
以前だと、愛煙者と言えば毎日1箱くらいは吸っていたように思います。同じ統計で、喫煙者のうちで、1日1箱以上吸う人は10.0%(男性12.1%)です。
つまり、20歳以上の国民で1日1箱以上たばこを吸う人は1.8%(男性の3.6%)ということになります。これだと、実感に近いです。
本当にたばこから離れられない人は、既にかなり少ないようです。受動喫煙防止策の厳格化を進めることは公共の福祉に合致しそうです。