埼玉県警がスプレー缶など危険物の総量が基準を超えていた疑いで捜査をしているそうです。
スプレー缶(エアゾール製品)には可燃物を薬剤あるいは噴霧材として使用しているものがあります。薬剤にアルコールなどの危険物が使用されている場合は、消防法に従います。
ちなみにアルコールの指定数量は400ℓです。例えば、1缶にアルコール200mℓを使用しているスプレー缶では2000缶が相当します。指定数量以上の危険物の貯蔵には厳しいルールが課せられます。この指定数量は少し大きすぎるので、指定数量の5分の1を超える場合は「少量危険物」として少し緩めのルールが課せられています。
ここで注意が必要なのは、「指定数量」という用語です。指定数量以上の危険物の貯蔵というのは、それぞれの物質の指定数量の倍数を加算して決まります。
上の例では、アルコール200mℓのスプレー缶1000缶は指定数量の0.5倍ですね。灯油の指定数量は1000ℓですが、仮に200ℓの灯油が入ったドラム缶が3缶あれば600÷1000で指定数量の0.6倍です。このスプレー缶とドラム缶が同じ倉庫に保管されていれば、合算して指定数量の1.1倍となって消防法の適用を受けるというわけです。
また、噴霧材に液化石油ガス(LPガス)が使用されている場合は、消防活動阻害物質としての届け出が必要です。届出の基準は300㎏です。
液化石油ガスですから、コンロのカセットボンベと全く同じなのですが、燃料であるカセットボンベは慎重に取り扱っても、スプレー缶の危険性は認識し難いのが実情だと思います。
※そう言えば、お花見でカセットボンベが爆発したというニュースもありました。
今回のアスクルの工場には、危険物貯蔵用の施設がきちんとあったそうです。延べ床面積が7万㎡を超える大型倉庫ですから、消防の立ち入り検査が定期的に実施されていたと思います。それでも、実際には一般倉庫内に分散して保管していたようです。
現実の物流作業を考えると、スプレー缶を専用施設に分けて保管するのは面倒だと考えるのは当然です。
しかし、倉庫でのスプレー缶による重大な火災事故は、これまでも時々起こっています。危険物の保管に関する注意は見落としがちですから、再確認をしてください。
また、危険物取扱者には定期的な講習を受講させることが必要です。こちらも合わせて確認してください。