老婆心のススメ・・頑張れ!先輩

あまり聞かなくなりました「老婆心」・・老婆が子や孫を慈しみ親切にすることが転じて、過剰に世話を焼いたり、取り越し苦労のアドバイスをする「おせっかい」の意味です。

 

老婆心は「景徳伝灯録」という1000年くらい前に中国で編纂された禅宗の灯録(灯史)に出てくるそうです。灯録(灯史)というのは仏教の歴史書ですが、同門の師匠から弟子へという流れで順に書かれるという特徴があります。

「景徳伝灯録」になかでは「老婆心切」あるいは「老婆親切」と書かれています。「切」は刀で切ることから、”とても近い”ということを表す語です。師匠である僧が弟子の僧に丁寧に親切に教えて導いていくという意味です。

 

明日から新年度が始まります。来週から、多くの若者が新しい環境で新しい仕事に取り組むことになります。先輩にはしっかり「老婆心」を見せて欲しいものです。仮に、「おせっかい」と思われて疎まれることになっても、お構いなしでいきましょう。

 

仕事にはミスや失敗は必ずあります。先輩や上司は経験上それを知っています。最も被害が大きいのはミスや失敗に気づかないで、その仕事を次の人にリリースすることです。万が一、お客様のところでミスや失敗が露見したり、それが原因で二次・三次被害につながると大事です。

 

これを防ぐ方法は、仕事をした区切り区切りでミスや失敗を懸命に探すことです。

仕事には「絶対にミスや失敗があるはずだ!」という信念?を持って探します。

会社の仕事においては、ミスや失敗をしない人が尊いのではなく、ミスや失敗を見つける人が偉いのです。どんなに優秀な学生でも、毎回必ず試験で100点満点ということはなかったはずです。学校の試験は合格点を取ればOKですが、仕事は違います。

他人に教えてもらおうが、カンニングをしようが、何をしても構わないので100点満点でなければいけません。これは、なかなか理解しにくいことです。

 

ミスや失敗をしないために、もう一つの方法は、区切りをできるだけ小さくすることです。つまり、ミスや失敗を探す間隔を短くします。

後でまとめてチェックするより、個別の作業が終わるたびにチェックをして修正を終わらしておくほうが、最終的には効率的です。このことを、先輩は経験的に理解しており、当たり前のことになっていますが、新人というのは知らないものです。どんどん仕事を進めて、最後にまとめてチェックするほうが効率的だと思うのです。

 

テキパキ仕事をこなしていく「できる人」より、ちょっとモサモサしている「さえない人」のほうが、結局は仕事が早くてミスや失敗がないということはよくあります。

やる気満々の若者には嫌がられるかもしれませんが、先輩の「老婆心」は会社のために大切です。