「てるみくらぶ」という旅行会社が経営破綻して、大きな問題になっています。
報道によれば、今回のトラブルで影響を受けるのは合わせて3万6千件。人数にしておよそ8万人から9万人で代金の総額は99億円余りに上る。更に、現在海外に渡航している2500人は自己責任で帰国するしかない。ということです。
今回のことで驚いたことが二つあります。
一つは、旅行業は登録制で経営審査があるはずなのに、こんなに簡単に破たんしてよいのか?という疑問です。
この会社は、第1種旅行業の登録<以前は国土交通大臣、今は観光庁長官>を受けています。
登録の基準は、基準資産(純資産のようなもの)3000万円以上、営業保証金7000万円以上などとなっていて、普通に考えれば破産するような会社は登録されていないはずです。
広告には「観光庁長官登録旅行業第1726号」と記載されています。
消費者はこれを信じて安心して申し込むのですから、観光庁には責任があるように思います。
観光庁のウェブサイトには次のようにあります。
(☞ http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/ryokogyoho.html)
”旅行者向け情報:旅行の申し込みの際は、利用される旅行会社が旅行業の登録を受けていることの確認を忘れずに!”
利用する旅行会社が旅行業の登録を受けている旅行業者かどうか、店舗や旅行パンフレットで登録番号(観光庁長官登録旅行業第○○○号など)を確認した上で、旅行の申し込みを行って下さい。 なお、第1種旅行業者については観光庁長官が、第2種・第3種旅行業者及び旅行業者代理業者については都道府県知事が、それぞれ登録を行っています。
しかし、本件について、観光庁のウェブサイトにも何もコメントはありません。登録制度というのは、形だけなのでしょうか?第1種旅行業は、僅かに700業者ほどですから、選ばれたエリート業者だと、消費者が誤認してしまった恐れがあります。全部が自己責任ではないのでは?と思います。観光立国日本を目指すうえでは、国(国土交通省・観光庁)としてきちんとした整理が必要でしょう。
もう一つは、経営破たんの原因は新聞広告の費用負担だという説明です。
インターネット経由の営業から、高齢者ニーズの取り込みなどを目的にして新聞広告を出したコストが嵩んだために資金繰りに窮したとのこと。
確かに、破綻の直前の今月23日の新聞朝刊にも「てるみくらぶ」の広告が載っていました。我家の読売新聞には全面広告で、日経新聞には5段広告でした。
それにしても、全国紙で全面広告を出す場合のコストが高いことに驚きました。
定価は、読売新聞(発行部数995万部)では約4800万円、朝日新聞(778万部)約4000万円・・などだそうです。仮に全国紙5紙に全面広告を出すと1日で1億4800万円になります。まぁ、実際は値引きとかあるのでしょうから、半値八掛けかとも思いますが、それでも凄い金額です。
今朝はカシオの電子辞書の広告が2面カラーで載っていました。ジャパネット(通信販売)とか、ユーキャン(通信教育)などの全面広告もよく見ます。これだけの広告料を使っても利益が十分に出る(あるいは、これだけの広告が必要)ということなんですね。