ある人から「なぜ、大阪の幼稚園は学校法人なのか?」と訊ねられました。
学校法人に関連した仕事はあまり多くないのですが、ちょっと解説します。
幼稚園も文部科学省が所管していますが、学校ではないので学校法人である必要はありません。よくあるのが、宗教法人が設置する幼稚園などです。もちろん、学校法人が設置してもよくて、文科省としっては学校法人化を推進しています。
逆に、小学校以上の私立学校は学校法人でなければ設置ができません。
小泉構造改革のときに、特区を決めて株式会社でも私立学校を設置できるという制度ができました。しかし、現在のところ通信制の学校が大半で、通学するタイプの私立学校は小学校が2校あるだけのようです。
学校法人の所轄庁は、大学及び高等専門学校を設置する学校法人は文部科学大臣で、それ以外(高等学校・中学校・小学校)は都道府県知事です。
学校法人を新設する場合は、所轄庁の認可が必要です。また、学校法人が学校を新たに設置する場合も所轄庁に申請をします。
学校法人の会計処理は「学校法人会計基準」というのに則っておこなわれます。普通の会社の会計基準とは少し異なるので戸惑います。
ややこしいことは省略しますが、資金収支会計・消費収支会計・貸借対照表計算という3つから成り立つという特徴があって、仕訳の仕方が異なります。資金や資産の取扱いも、学校は長期間安定に存続すべしという観点から異なります。学校会計の基本金と会社の資本金も似て非なるものです。
私立学校の経営分析も一般企業の場合とは少し見方が異なります。
一般に、学校の収入は学生生徒数で決まるので、高い精度で見込が立ちます。支出のほうも予測は容易ですが、教育や研究の水準を落とせないので、仮に財務状況が悪化しても削減できないという問題があります。また、学校法人は増資で資金を得ることができないので、過大な資金需要が発生すると借入金に頼ることになります。
学校法人の経営はその他の業種と比べれば、予測が容易で計算が立ちやすいです。しかし、学校法人はその他の業種以上に経営が破たんすることを避けなければなりません。このため、私学経営情報センターなどが、経営診断の基準を提示しています。
学校法人の経営がどのレベルにあるのかを、常に掌握しておくことが必要です。