「働き方改革」「1億総活躍社会」という目標は、うまい作戦だったと思います。
安倍政権のうまさに、成果が出やすい目標、あるいは成果がすでに出ている目標を掲げるという作戦があります。このちょっとずるい作戦に、民進党が見事にはまって、ずっこけるというのが繰り返されています。
会社の人事考課制度でも、MBO:目標管理をおこないますが、評価が高い人は目標の立て方がうまいです。上司が、なるほど問題だと思うようなテーマであるが、既に改善のトレンドにあるものを選ぶのです。他人の手柄をうまく取り込むのです。
さて、「働き方改革」というのは、「誰もが活躍できる社会を目指し、多様な働き方を可能とする」という改革です。最近はいつの間にか過労死対策で労働時間の上限を数字で決めるということがメインテーマになってしまいましたが・・。
少し乱暴に言えば、失業率(完全失業率)が3.1%、就業率74.8%(男性82.6%・女性66.8%)という状況ですから、働く気持ちのある人はみんなが働いています。つまり、現在の日本では、とりあえずは誰もが活躍している社会「1億総活躍社会」だと言えます。
2016年の1年間でも、働く人の数は81万人も増えました。もっとも、雇用者は104万人増えたのですが、自営業などは30万人(4.5%)減りましたが・・。
多様な働き方では、これも乱暴に言えば、人手不足が進んでいけば、必然的に、多様な働き方になります。山口県でも人手不足ですから、新聞の折り込み広告の求人欄が多彩になってきました。3年前は、最低賃金かその近く(700円とか)の時給で、勤務条件も同じような募集ばかりでしたが、今や多種多様です。なかには、1日1時間・日給1500円なんていうのまであります。結構、地方でも多様な働き方が可能です。
最近では、電通の過労死問題に端を発した労働時間規制がメインテーマになりました。
しかし、そもそも、どの死が過労によるものかの判断は難しいですし、その過労が勤務によるものかの判断も難しいです。
数字だけ置くと、脳・心臓疾患で労災認定された死亡は2015年で96件です。2002年の160件から徐々に減ってきています。自殺者は2015年に24,025人ですが、被雇用者は6,782人(28%)です。そのうち、自殺の原因が仕事の疲れの人は679人でした。
もちろん、過労死や自殺はあってはならないのですが、働いている人で疲れ果てているのは雇われた人より雇っている人ですし、自ら命を立つ人の過半数は仕事をしていない人です。
結局のところ、民主党政権時代は何もしていなかった、民主党政権時代と比較してこれだけよくなっているという話ではぐらかされそうなテーマです。せっかくの国会なのですが、議論がかみ合わないのは、野党側が議論のテーマをきちんと設定できていないからでしょう。
ちなみに、人事考課制度では、上司が目標の設定段階で全体的なトレンドを把握して、テーマを決めることが重要です。