滋賀県の人が、大阪の人に向かって「琵琶湖の水を止めたろか」って・・これは笑い話。
カリフォルニア湾は、右の写真のようにメキシコ本土とバハ・カリフォルニア半島に挟まれた巨大な地球の裂け目です。2005年に、「カリフォルニア湾の島々と自然保護区」として世界遺産に登録されています。
244の島がある半閉鎖性海域で、総面積は18万㎢です。独特の地形と美しい自然景観を誇り、海域には全世界の海洋哺乳類の種類の約4割が棲みます。
ゾウアザラシなどの海洋哺乳類31種を始め、タイマイなど5種のウミガメ、90種の固有種を含む891種の魚類がいて、アメリカオオアジサシなど多くの海鳥の繁殖地で、内陸部では世界最大のオオハシラサボテンの林立が見られるそうです。
この湾に流れ込むコロラド川は長さ2,333㎞。世界で36番目に長い川で、流域面積が広くて約62万㎢です。日本では、信濃川の367㎞が1位で、そもそも国土面積が37万㎢ですから、日本人には想像し難い大きな川だとわかります。上流がグランドキャニオンで、ラスベガスなど有名な都市があり、フーバーダムのような大きなダムがあります。
コロラド川の総水量は、平均で年間160億㎥だそうです。アメリカとメキシコの二つの国をまたがる国際河川です。水の権利について1944年に両国で協定が結ばれています。
この協定で、アメリカ側の権利は年間184億㎥でメキシコの権利は18億㎥に決まりました。すぐわかるように、アメリカ側の権利だけで全水量を超えています。
これ以降、普通の年はアメリカはきっちり18億㎥だけの水をメキシコに供給(最終流量確保義務)しています。渇水の年には、アメリカの権利が強くて、その18億㎥も下回ります。要するに不平等協定なんです。
下流にあたるメキシコ側では、この18億㎥が農業用水や生活用水として使われます。結果として、コロラドデルタは干上がっており、カリフォルニア湾にはほとんど水が流れ込まなくなりました。コロラドデルタは最大のときの10分の1に縮小して生態系は破壊されてきました、川の水の塩分濃度が上昇する問題もあって、カリフォルニア湾の貴重な自然も危機に瀕しています。
2005年の世界遺産登録や2010年のメキシコ北部震災をきっかけとして、コロラド川の保全が注目されています。大切にしていって欲しいものです。