銀行の新しい担当者が頼りにならないとき

雑誌の経営相談コーナーでの質問に対する回答が面白かったので・・。

 

私の経験で言いますと、銀行で法人を担当している人はおしなべて優秀で頼りになります。但し、人間ですからものすごく優秀な人もいれば、ほんのちょっと優秀なだけの人もいます。

 

銀行員でいつも感心するのは、記憶力の確かさです。

銀行員が訪問してきた場合、覚えておかなければならない情報の量は、経営者も銀行員も変わりません。経営者は自分の会社のことですし、紙媒体や情報端末を身近に置いて情報を確認することができますが、銀行員の場合は情報の持ち出しが厳しく規制されるので、手ぶらに近い状況です。出掛けに資料で確認してくるのでしょうが、よく覚えているものだと感心させられることが常でした。

 

さて、銀行の新しい担当者が頼りにならないときの対処法です。経営コンサルタントさんの回答がとても明解だったので紹介します。回答の要旨は2点です。

1.銀行の担当者は3年で変わる。

2.要望は書面で渡す。

 

銀行の新しい担当者が頼りないとか、人柄が嫌いとか、相性が合わないとか、そんな理由で銀行を変える必要はありません。銀行の担当者は3年で変わるので、少しの間は我慢して付き合いましょうという回答です。

いや~、目から鱗です。正直言って、私はこんな風に考えたことがありませんでした。これも一つの考え方ですね。

 

ただ、私からすれば、銀行員の記憶力なんかに感心ばかりしていたのが、こいつ頼りないな?などと思えるようになったのは、自分が経営者として成長したのです。ちょっと指導してやるぐらいの気持ちを持つのも好いかと思います。ちょっと頼りないと感じるくらいの担当者のほうが、いい提案を持ってきてくれるかも知れません。

 

二つ目の、「要望は書面で渡す」というのは当然だと思います。

私は、かなり大量の紙媒体の資料を毎回渡していました。資金繰り表や計算書類などの資料は当然ですが、事業計画や投資計画、開発中の案件や追っかけている仕事のこと、経営者としての考えまでです。

 

紙媒体の資料というのは丁寧な取り扱いをされます。

銀行員は記憶する必要があるので、資料をよく読みます。いくら見慣れているといっても、数字が並んだ計算書類よりは、経営者が作った資料のほうが読みやすいはずで、記憶に残ります。

 

そうすれば、「例の〇〇って開発案件はそろそろどうなっていますか?」なんて、担当者のほうから資金の心配をしてくれます。これも一種の「見える化」ですし、経営者の頭の整理にもなります。銀行とはうまく付き合いをしたいものです。