農業の法人化を進めていく

農業を法人として経営することが増えています。現在では、およそ1万8千の農業生産法人(正式には農地所有適格法人)があります。

 

このところは農業生産法人が新たに設立されるとか、一般法人が農業に参入するとかで、大雑把に言えば、農業の法人化は1年に1千社のペースで増えています。

 

農林水産省の資料によると、農家が農業を法人化するメリットは次の5つです。

1.節税になる。

これは個人事業主が法人成りするときの理由と同じですね。農業所得が年間400万円までは個人事業のほうが税金が安く、400万円を超えると法人化で節税になるそうです。

2.経理がきちんとできる。

農業経営と家計のお金を分けるということです。

3.人を雇用しやすい。

これは、何となくですが法人で雇われていたほうが安心です。しかし、人を雇うと法人として社会保険の負担もあります。

4.信用が増す。

これも、何となくですが法人のほうが信用されやすいということは事実です。

5.経営承継が円滑にできる。

これが、節税と並んで法人化の最大のメリットでしょう。個人の場合ですと、相続(特に農地の)というやっかいな問題が生じます。法人に所有を移しておけば、経営資源として分散することもありません。また、仮に自分の子が農業を継がなくても、従業員に引き継ぐことも可能です。

 

国や地方自治体としても事業引き継ぎができなくて地域の農業が廃れていくのは困ります。そこで、農業の法人化を積極的に進めようとしています。このため、農業生産法人にはさまざまな優遇措置や特例を設けています。経営や技術の指導のために無料で専門家を派遣したり、低金利の融資枠を設けたり、従業員を雇用すると補助金を出したりしています。

農業の法人化は、こうした補助助成のメリットがかなりあります。

 

もう一つ、農業生産法人を農地所有適格法人というややこしい名称にしているのは、一般の会社(法人)であっても、農地の所有をしなければ農業に参入することは自由だということを知らせています。農地を賃貸借するかたちで、普通の会社が農業を事業としておこなっても構わないのです。現在は、全国で2千5百社くらいが参入しています。

 

また、最近の6次産業化(農業は1次産業・農産品加工は2次産業・加工品の提供販売は3次産業。1+2+3=6次産業)の流れを推進するために、農業生産法人の株主には二分の一を超えない範囲で農業をしていない人や法人からの出資が認められました。

農業経営者は高齢化が進んでいますから、こうした動きを進めて、日本の農業を守ることは大切です。