白髪三千丈・・誇張表現には御用心

李白の有名な詩の一節です。積もる思いに白髪が三千丈(約9000m)も伸びてしまった。中国人の誇張表現好きの例えとしてよく使われます。「白髪三千丈の国」という言い方です。

 

 

アパホテルの客室に置いてある書籍について、話題になっています。

もちろん、ずいぶん以前から置かれていたわけで、私も読んだことがあります。そのときも、何も客室に置かなくてもよいではないか、よく問題にならないものだと思いました。これまで、私自身が積極的にアパホテルを選択しない理由の一つでもあります。

 

それはさておき、人口20万人の南京市でどうやって30万人を虐殺できるのか?という疑問は当然と言えば当然ですが、あまり意味がありません。中国の人にとって、数字には象徴以上の意味がないのです。3千人より3万人、30万人の方が象徴的ですし、3が付く数字が大きいと言う意味には適しているだけです。

 

白髪三千丈も仏教の三千世界に通じて、ものすごく長いという象徴であって、本当に9㎞も髪が伸びるわけもありません。まぁ、この白髪三千丈にはいろんな解釈があって、白髪1本でなく頭にある髪の毛を全部つなげたら三千丈になるとか、白髪は眼前の長江(揚子江)のことを比喩として謳っているとか(この場合は長江が9㎞とは逆に控え目すぎますね)、いろいろあります。

 

しかし、李白は文字通り白髪三千丈を誇張表現として使ったと思います。

 

中国の会社では、肩書を誇張することもよくあります。会議の場では、ひとつの会社に「総経理」が何人もいることがあります。「総経理」は社長のことですから、会社に一人のはずですが副総経理や経理の肩書の人でも、総経理として紹介するケースが多いので要注意です。また、欧米式で副総経理といっても何人もいますから、社長と思って話していたら序列10番目の人だったということがあります。

 

中国の外務大臣として王毅という方が認識されています。王毅さんの正式な役職は中国外交部の部長で、実際の中国の外務大臣は外交担当の国務委員である楊潔篪という方です。王毅さんの中国政府のなかでの位置付けを日本で言えば、複数人いる外務副大臣の一人といったところで、実際には権限はあまり大きくないのです。もっとも、楊潔篪さんの権限も共産党独裁のなかでは、かなり限定的のようです。

 

要するところ、誇張は嘘ではありません。数字や肩書を上乗せするくらいのことを気にしていては中国との取引はできません。十分に用心しながら、事実を確認していくことです。