このところ消防車のサイレンをよく耳にします。冬場は火災が増えています。
火災そのものは、昔と比べると少なくなっています。
10年前、平成17年の出火件数は5万7,460件で、平成27年は3万9,111件(68.1%)。死者数も、2,195人が1,563人(71.2%)。となっています。
火災予防対策が進んだ成果が表れています。
特に出火件数の少なさは特筆に値するようです。世界の国々の中で、日本ほど火災の発生が少ないのは珍しいようです。多くの国で火災の原因になる電気系統のトラブルが少ないことが主な要因ですが、暖房用機器や調理用機器の防火対策が地震への備えと同時に普及していることが上げられます。
しかし、出火件数当たりの死者数はかなり高くなっています。これが日本の闇の部分です。
日本では、出火件数の17%くらいが放火(疑い含む)です。
日本の出火原因1位はずっと放火です。欧米でも都市部は放火が出火原因で最も多いのですが、国として出火原因の1位が放火というのは稀です。途上国では電気火災が最も多く(もっと途上国ではたき火や裸火が多い)なります。
更に、日本の放火の特徴は自分の家に火をつけるケース(自損放火)が多いことです。究極の目的は、放火自殺というわけですが、火災死者数のなかでなんと22%が自殺です。
この放火自殺(焼身自殺)というのは、欧米など海外ではほとんど見られません。主に宗教的な風土の違いです。キリスト教徒は、自殺そのものが禁忌なうえに、自殺の手段として自分の家に火をつける(あるいは自分の身体に火をつける)というのは考えもしないようです。
そうは言っても、近年はこの自損放火も大きく減ってきています。これは、全体の自殺者数が平成13年の3万4427人をピークに減っていて、昨年は22年ぶりに2万2千人を下回りました。結局のところ、景気回復と社会的安定は、火災予防にもなるわけです。