地方都市では、人口減少が続くなかで、コンパクトシティ≒中心市街地活性化は、重要なテーマです。しかし、現状では死屍累々って感じです。
国のコンパクトシティ施策の第一号だった、青森市の失敗が盛んに取りざたされています。うまくいっていたかの感もある富山市も実態としては市民の賛同を得ていないようです。
これまでの歴史で、大戦による空襲とか大震災とかの特別な事情を除けば、日本の都市人口は常に増加を続けていました。人口増加は過密をもたらし、地価の高騰や生活環境の悪化をもたらします。このため、中心市街を離れて郊外で生活するする人が増えるという「ドーナツ化現象」がおこってきました。大型団地(ベッドタウン)の建設がすすみ、大型商業施設が自動車を利用する消費者を集めます。結果として、中心市街地が空洞化していきました。
現在の日本は、これまで世界の歴史にはなかった「人口減少と超高齢化」という実験的な状況を迎えています。そこで、出てきたのがコンパクトシティという考え方です。
空洞化してしまった中心市街に、公共サービス・医療介護・商業ビジネスをコンパクトに集積させて、効率的で省エネルギーのシティをつくります。利便性は高まりますし、自動車に頼らない生活は安全・安心なうえに環境にもやさしい。更に、万一の災害なのでも共助が容易です。
良いことづくめに思えるコンパクトシティですが、どこもあまりうまくいっていません。もっとも、国の施策ですから、あたかも成功しているかのような評価が提出されてもいます。
中心市街地に大型商業施設を(補助金を使って)建設した場合は、過大な賃料を払えないテナントが続出して破たんしてしまいました。新たな交通網を設置して中心市街への流入を誘導しようとしても、郊外に住むことの利便性を高めるだけでした。
大型商業施設ではなく商店街の魅力を高めようとしても、古くから住んでいる住民の不利益を避けようとすれば中途半端なものしかできません。結果として、廃墟のなかにコミュニティ施設がポツンとできただけになります。
中心市街のマンションに住んで、郊外の仕事場に通うというのは、普通は考えにくいです。やはり生活コストが安くて、環境のよいところに住みたいと思います。
以下、明日に続く・・