日中省エネルギー・環境総合フォーラムを考える

北京で第10回となるフォーラムが開催されましたが、同床異夢という感じです。

 

日本での報道は、深刻な環境汚染に悩みその解決策を欲しいと思っている中国と、長年の経験と高い技術力を環境ビジネスとして中国で広げたい日本の両国が関係を強化することはお互いの利益になるという論調です・。

 

しかし、中国への環境技術供与には注意が必要です。

「技術」と言っても様々です。ノーベル医学生理学賞を受賞した大隈教授のような「基礎技術」は獲得するまでに長い時間がかかります。

しかし、環境技術は実用技術であって、最初は模倣から入っても、キャッチアップに時間はかかりません。経済的に困窮している途上国や人口の少ない(すなはち技術人材の少ない)小国ならいざ知らず、世界第二位の経済規模と世界一位の人口を抱える中国では容易に運用することが可能です。

 

台湾に代わってP5(国連常任理事国)の一員になってからでも45年(1971年~)という長い期間が既にあります。明治日本の産業振興が世界遺産に登録されましたが、明治時代の年数と同じ期間です。十分な時間がありました。

現在の中国には環境技術は既にたくさんあります。他国からカネで買ったものだけでなく、自国で開発したものも数多く存在しています。

 

簡単に言えば、中国で環境技術が広まっていないのは、運用する側に「やる気」がないからです。「やる気」がないのは、すなわち、やらないほうがいいからです。

超大国となった中国が、まだ後進国であり発展途上国であると主張するためには、環境改善が進まない方がベターです。今回の日中フォーラムや関連する共同プロジェクト(事実上の技術供与)の合意などは好例です。

 

中国の(技術を持たない後進国という)擬態のために犠牲になっているのは、健康被害に悩む中国国民と温暖化が進む地球そのものです。正確なデータは取りようもありませんが、自国民の生命(寿命)を削った政策であり、地球規模の気候変動につながっています。

 

今回のフォーラムで合意された日本企業と中国企業の連携プロジェクトはどれも小規模なもの

です。日本企業は環境技術に関する中国とのプロジェクトが決してうまくいかないことを、既に学んでいます。

大国・中国が民主主義のコストを払わないままに、どこまで突っ走ることができるのか?そして、自国民の生命と地球そのものが耐えきれるのか?心配です。