12月に入りましたので、井原西鶴の浮世草子から好色物を紹介しましょう。
【但し、15歳以上限定です。】
好色一代男は井原西鶴41歳のときの処女作です。全54章から為る、連作短編小説です。
主人公「世之介」が7歳から60歳までの54年間を1年1篇で綴っています。世之介は今風に言えば、バイセクシャル(両性愛者)なのでしょうが、「好色」というとおり生涯に女性3762人、男性725人と性的関係を持ったと描かれています。
時代背景から文化的あるいは芸術的な価値が高く評価されていますが、ポルノグラフィであることは確かです。江戸時代の前半という時代に、大人気を博したのです。
ちなみに、浮世絵の春画など芸術性も高く評価されていますが、同じく写真のない時代のポルノグラフィだったのも事実です。
さて、好色一代男の最終章(54章)は世之介60歳のときです。現代風アレンジで書きますが、何といっても題が「床の責道具」(=性戯で使う道具や薬のこと)です。
さすがに照れくさいので、一部は伏せて要約します。
世之介が現金25億円を母親から好きなように使えと渡されたのは34歳のときだった。それから27年間、朝から夜まで遊び続けた。夜の世界は広いけれど、残らず楽しみつくした気がする。恋に狂ってここまできたが、親はなく子もなく妻もいない。
ふっと思うと、色の道に迷い、煩悩を増やし続けても、まだ色狂いは止まらない。すでに還暦60歳を迎え、足腰も弱くなり耳も遠くなり、容姿も衰えた。つきあってきた女も白髪が増えて、額にしわがよるようになった。昔は肩車をして歩いた色白な娘たちも、他の男の妻におさまった。
時の流れは避けられないものだ。死んだら地獄に落ちて鬼に喰われるだけと思っていたのだから、今更心を入れ替えても天国に行けるはずもない。「こんな放蕩な人生を送ってきたのだから、もうどうしようもない」と、使い残した2億円の金は東山に埋めることにした。
「夕日の陰に朝顔が咲く下に2億円がある!」と、欲深い後世の者に書き残しておいたが、絶対に見つかるまい。
ここまでしてから、世之介はクルーズ船を新造して「好色丸(よしいろまる)」と名付けた。同好の士を集めて7人で進水式だ。
船には、遊女の形見の腰巻でつくった赤い吹き流し、幔幕はなじみの売春婦のドレス、床にはひいきのホステスの毛皮、太綱には遊んだ女たちの髪を撚り混ぜ、台所には生け簀にドジョウを放ちゴボウ・山芋・卵を積み込み、船室には強壮剤50缶、催淫剤10箱、性具各種(これは書けない)合計8000個、張形(これも・・)合計6800個、ポルノグラフ200冊、ポルノ小説200冊、そのほか下着やら何やら・・(やっぱり書けない)。を積み込んだ。
船に乗り込むときに、世之介が「これで二度と戻らないぞ。門出の酒だ!」と言ったので、残り6人は驚いて「どこに行くのですか?私たちはお供しますが」と尋ねたら、世之介「もうこの世では遊女も売春婦もホステスも、見残したものはない。これから、女ばかりが住むという”女護の島”に渡って、つかみ取りにしようぜ1」と応えた。
7人は喜んで「その島で・・・・(削除)して、土に帰るのが一代男の願いの道だ」と、風に任せて船出をした。今になるも、誰も帰ってはこない。
めでたし、めでたし・・かな??? <終わり>